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プロローグ 第七章

「強制的に攫っておいて役目をこちらに強制するのに、そういうのを疑うのは当たり前でしょ! 」


 天音がさらに叫んだ。


 それで、女神エルティーナもムッとした顔をはっきり見せた。


「貴様ら! 我らを馬鹿にするのか? 」


 エゼルレッド国王が叫んだ。


 だが、今度は陸は天音を庇わなかった。


「今度は止めないのか……」


 凄く小さな声で慎也が呟いた。


 慎也はさっきまで天音が叫ぶ度に間に入った陸が動かないのを訝しく思っていた。


「もういい。貴様らの希望通り魔獣たちの近くに転移……いや転生させてやろう」


 憎々し気に女神エルティーナが陸や天音たちを見て笑った。


 微妙に意地の悪い笑顔だ。


「ま、待ってください。私達は番外組とか言われてる彼らとも同じ学校の仲間なんです。止めてください」


「いや、勇者殿は何もおっしゃっていないようだがな……」

 

 茜の必死の言葉に女神エルティーナが笑った。


「まあまあ、魔獣の説得に行ってくるよ」


 そう陸が笑った。


「では、魔獣のいる所に行ってくるがいい」


 女神エルティーナが手をあげると光の輪と魔法陣が拡がる。


「待って、スキルを貰った私たち以外は全員送るのですか? 」


 慎也がはっとなったように叫んだ。


 だが、その瞬間、神代陸(こうじろりく)鏡月天音(きょうげつあまね)坂下健(さかしたけん)沼口智子(ぬまぐちともこ)が消えた。


「ええ? 私も? 」


 健と智子は陸と一緒に追い出されるのは気にしてないが、天音は心外だったらしくて驚いていた。


「いや、まあ、あんなに喧嘩腰だとなぁ」


 陸が小さく呟いた。


「待ってください! 本当に魔獣たちのいる場所に転移させるなんて。彼らも私達と同じなんの訓練も受けていない人間なんですよ! 」


 茜が叫んだ。


 だが、エゼルレッド王のまわりの群臣はクスクスと笑うだけだった。 


「まあ、安心しろ。どうせ奴らは何も出来はしない。それならば今の段階で一番安心な魔獣の中の魔獣である大陸ドラゴンの背中の寄生魔獣に転生させた。落ち着いた辺りでちゃんと元の人間としてこちらに戻そう。あの者どもは少し懲りた方が良かろう」


 そう女神エルティーナが笑った。


「おっしゃる通りです」


 エゼルレッド王も笑った。


「な、なんてことを……」


 茜が驚いた。


「心配するな。何気に大陸ドラゴンの背中は敵対する魔獣もいないし、安全だ」


 そう女神エルティーナがその行為を非難している茜に笑いかけた。


 だが、慎也も茜も笑わなかった。


 凄く嫌な予感がしたからだ。


 

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