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第六部 第十六章

 肩を落としたエゼルレッド王達や女神エルティーナは落ちこんだ顔のまま帰っていった。


 全てが完全に裏目に出て、計算が大きく狂ったのだ。


 人族の召喚した勇者ですら、人族の勝利に懐疑的な発言をするのだ。


 どれほど落ち込んでも仕方ない状況だった。


 豪奢な王宮の移動した部屋に取り残された慎也と大悟と茜も困惑していた。


「帰っちゃったよ。ちょっと、こちらの立場が微妙になったよね」


 慎也がため息をついて囁いた。


「ごめんなさい。心配だったんで、つい騒いでしまったけど……本当だ。無意味だった」


「どちらかと言うと、こちらがヤバいかもね」


 慎也が茜の言葉に囁くように答える。


「向こうに対しての人質に使う可能性があるって事か? 」


「その通り。向こうが強いと認めたら有り得る」


「だが、そう言う事になるかね? 女神エルティーナのプライドもあるし、それをするにしたら、まだ勇者のチートも賢者のチートも神官のチートもある」


「まあ、ひょっとしたら、魔法使いもいるのかもしれない」


「それの可能性も捨てがたいな。最終的に俺を呼んだだけかもしれない」


「でも、本当に怪物だよね。とんでもない事をするよ。陸君は」


 そう慎也が感心した。


「へ? 料理してるのが? 」


「いや、キングオーガとキングオークが同盟関係にあるだけで、実は聞き取りした話だと、魔獣族って連携とか殆ど無いらしい。それぞれがバラバラで勝手に動いてるらしいんだ。獣魔神ライとあのイーグルベアだっけ? あの辺りだけがちゃんと命令系統として生きている程度なんだよ」


 茜の驚きに慎也が囁くように説明した。


「なるほど、あいつが全部の魔獣を連携させる中核になるかもしれないという事か」


「そう。さすが大悟。その通り。下手したら、人族は彼を中核にして高度に連携の取れた魔獣と戦う事になるかもしれない」


「いや、単なる料理を食べさせてただけでしょ? 」


「人脈って馬鹿にならないだろ。それまで交渉の無かった魔獣に、集まる場所を提供して仲良くさせる土壌を作ったんだ。あいつ。相変わらず、そういうのは得意だからな」


「あ、そうか……」


 茜が驚いた顔をした。


「それはここだけの話にしておいてね。あの落ち込みなら内偵は残して無いと思うけど。今、囁くように話しているのも、エゼルレッド王達に知られない為だよ。本当に信じられない事をしてるよ。それによったら……」


「こちらへのジェイド王国の対処も変わるっ可能性があるって事だな」


 大悟がそう囁くように答えると深いため息をついた。


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