第六部 第十三章
「あんなスキルを与えた覚えは無いのだが……」
女神エルティーナが意
「ええええええ? 」
慎也も茜も凄い顔をしていた。
「勝手に職業選択をしちゃってるのだ……」
女神エルティーナがドン引きしている。
画面の中で、みじん切りにした野菜を鍋に入れてスープを作っているようだ。
「もうちょっと待ってねぇ」
そう天音が言うと、周りの寄生魔獣の子猫達がにゃあにゃあと騒いで天音の足にすり寄る。
「はいはい、皆のご飯はこっちだよ。そっちは皆さんのだから」
そう亜人の猫になった智子が子猫達を呼ぶ。
すると子猫達がわいわいと今度は智子のまわりに懐いた。
そして、智子が作ったらしい肉の料理をおいしそうに食べだす。
「よしよし」
智子があらんかぎりで子猫達をもふもふした。
「ああああああ、もふもふだぁぁぁ」
羨ましそうに茜が呟く。
「敵地なんですよね? 」
慎也の顔が少し歪む。
エゼルレッド王達も凄い顔をしていた。
「り、陸君は? 」
茜が裏返ったような声で聞いた。
「その先だ」
画面の映像がそちらに移動する。
そこには肉を鉄鍋で焼く陸がいた。
「<ボイル>」
陸が叫ぶと、肉がこんがりと美味しそうに焼けていく。
「便利だな。このスキルって……」
「うむ。獣魔神ライ様からの授かりものだからな」
そうチョロ熊さんが叫ぶ。
「え? 」
慎也が唖然とした顔で女神エルティーナを見た。
「うむ。獣魔神ライが勝手に奴を交渉役として認めただけでなく、交渉には饗応として食事が欠かせないとか言う訳の分からない理由から、勝手にあれに位とスキルを与えている」
「何で? 」
茜が凄い顔になった。
「ちょっと待ってください。あの一際でかい巨大な羽根の生えた熊は……」
エゼルレッド王が驚いた。
「そうだ。獣魔神ライの近衛のスタガルド・クレイルライド・ベヘモスだ。魔獣族の最強の怪物の一つだ」
女神エルティーナがそう驚く。
「ほらほら、チョロ熊さん! スープ出来るから! 」
「分かった分かった……」
横から天音がスタガルド・クレイルライド・ベヘモスにそう突っ込んだ。
それでスタガルド・クレイルライド・ベヘモスが指図すると、器に入れたスープを藤棚のような所にライトが付いているビアガーデンのような場所に運んでいく。
それは全て、人族が魔獣を攻めた時に落としたりした鍋とか皿とかであった。
「チョロ熊って……」
慎也が固まっていた。
どう見ても天音が部下のようにスタガルド・クレイルライド・ベヘモスを使っていた。
全員が唖然としてその光景を見ていた。




