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第六部 第八章

 大悟が致命傷を与えたはずのオーガは這いながら、手を大悟達が住んでいた城の塔に伸ばす。


「どうしたの? 」


 茜が訝し気な顔で這っている死にかけのオーガを見ている大悟達を見て不思議そうな顔をした。


「なんでだ? 」


「おかしいよね」


 大悟と慎也の言葉が続く。

 

 死にかけのオーガは致命傷を与えた相手の大悟にも<マジックシールド(魔法盾防御)>を展開した慎也にも全く敵意を向けず、何かを追い求めてるように見えた。


「どうやら、キングオーガはいないようだ! 」


「数も少ない。殲滅戦に入れっ! 」


 城壁のクラスペディア騎士団の騎士が叫んだら、それにハロルド騎士団長の指示が飛ぶ。


「どうしたのよっ! 」


 トドメを刺そうともしない大悟に茜が叫ぶ。


「オーガの数が少ないってのはおかしいよね……。城を攻めに来てるのに。人間同士の戦争だって、城攻めは昔から三倍の兵力がいるのに……」


 慎也がそう呟く。


 オーガは大悟達が住んでいた塔に向かって手を伸ばしたまま絶命した。


「しばらく前に下でガタガタして無かったか? 」


「何か運び込んでいたような気配があったね」


「地面は均してあるな。引きずった後は無いけど……」


 大悟と慎也がそう話し合う。


 それに茜が普通で無いものを感じで黙る。


「勇者殿。流石ですな。初戦でオーガを三体倒しましたか」


 いつの間にか気配もなく、ラティエル騎士団のアルヴィン騎士団長が立っている。


「夕暮れ時にどこかに出かけてましたよね」


「もうお戻りに? 」


 大悟と慎也が険しい顔で聞いた。


「いやいや、申し訳ない。キングオーガが出たと報告があり、迎撃に出向いていたのです。まさか、別動隊が城を狙うとは……」


 ラティエル騎士団のアルヴィン騎士団長が肩を竦めた。


 それをハロルド騎士団長がいつの間にか来て、凄い顔をして大悟達とアルヴィン騎士団長を見ていた。


 そのハロルド騎士団長の表情をちらと慎也が見た。


「……間違いないみたいだよ……」


 慎也が深いため息とともに呟いた。


 ハロルド騎士団長が隠し事の出来ない性格なのを挨拶などから把握していた慎也が真っ暗な顔をした。


「<スラッシュ(斬撃)>! 」


 塔に向けて、大悟が勇者の剣技スキルを使った。


 塔の一部が崩れて、そこから隠し部屋が現れる。


 大悟と慎也が一瞬、アルヴィン騎士団長とハロルド騎士団長を見たが、ハロルド騎士団長は顔を背けたものの、アルヴィン騎士団長は無表情だった。


「嘘っ! 」


 茜が叫ぶ。


 その隠し部屋には、大きな木の杭をいくつも死なない様に刺された子供のオーガが二体ほど呻きながら死にかけていた。


 

 


 

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