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第六部 第五章

 惨劇は目の前で始まった。


 城内にオーガが侵入して来た。

 

 良くアニメとかで見るような鬼のようなオーガとは違い、トロールのように毛が長く目だけが異様に大きく見えた。


 鬼のような角はあるが、それ以上に毛が全身に生えており、そちらの方が大悟達の想像と違っており驚いた。


 亜人と言うより、確かに魔獣なのだと思われた。


 それは圧倒的だった。


 入り込んで来たものは、鉄でできた盾と剣で攻撃して来たがクラスペディア騎士団の攻撃は全く子供扱いされて、攻撃は盾で封殺されてオーガの剣の一振りで真っ二つになって転がる。


 一撃一撃の攻撃が違いすぎる。


 それを見て茜は真っ青になり吐きそうになって半泣きになった。


 それを流石、老練なハロルド騎士団長の指揮で城壁の<床子弩(しょうしど)>に似た二メートルほどの矢を発射する兵器を内向きに変えて、オーガの頭を貫いた。


 その威力は流石で剣と盾しかないオーガはそれで痙攣しながらも剣を振るって、しばらくして死ぬ。


 野生動物はすぐには死なない。


 致命的な攻撃を受けても、しばらくは動くのだ。


 それゆえ、武道にもある残心と言う言葉があるのだ。


「なるほど、簡単には死なないって事か」


 吐き気がするような状況で大悟はそれを観察していた。


「どうする? 」


 慎也が心配そうに聞いた。


「行くしか無かろう」


 大悟がそう言いながら貰っていた剣を腰に巻いた。


 それは<勇者>の為にあつらえた、オリハルコン製で、特別の切れ味なんだそうだ。


 そして、<勇者>に恥ずかしくない様に金で装飾してあり、芸術品としても素晴らしかった。


 だが、この問答無用の暴力の嵐では、その<勇者>の剣ですらおもちゃに見えた。


 鉄で出来た剣の方が劣っているはずが、オーガの為に作られた鉄の剣は分厚く1.5メートル近い巨大な暴力の塊の様に見えた。


 それをまるで軽い木の棒の様に彼らは振るうのだ。


「勝てると思えないレベル差なんだけどね」


「何もしない訳にはいかんだろう」


「とりあえず、無理な相手は避けよう。想像してた以上だった。キングオーガとやらがどの程度か分からないけど、あれが普通のオーガだと言うなら、どうなるか分からない」


 慎也の言葉はそのまま大悟の結論と同じだ。


 何しろ初めての戦いなのだ。


 元の世界では武道はあっても殺し合いはまず無い。


「待って、私も行くよ」


「茜さんは待っていた方が良いと思うけど……」


「でも行かないとどうしょうも無いんでしょ」


「前に出るなよ」


 大悟が茜に注意した。


 だが、本音を言えば前に出て自分が戦って勝てる自信も無かった。

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