第六部 第二章
「で、ここからどうするのだ? 」
後に知る魔獣族の伯爵位であるスタガルドのの位を持つ、スタガルド・クレイルライド・ベヘモスさんはチョロ熊さんチョロ熊さんと天音に声を掛けられていた。
しかも、無茶苦茶馴れ馴れしく仲良くしていた。
そんなわけで、こちらの事にも声を掛けてくるようになっていた。
「ここに電気を灯そうと思います」
「ああ、あの御方がしていた奴か。あれは確かに面白いものであるな」
「夜が暗いと、あると便利でしょ」
「いや、皆、魔獣族は夜目が効くからな」
「でも、昼間みたいに明るいのも良いじゃない。ネ、チョロ熊さん」
「なるほどな。それは確かにあるかもしれんな」
とすっかり仲が良くなっている天音であった。
陸もその時はそんなに偉い御方と思わずに、いろいろと頼んでしまった。
非常に気さくで性格が良いのだ。
だから、まさか、後であれほどの高位だと思わずビビリまくるのであるが……。
沢山のまっすぐ伸びた直系10センチくらいの木を頼むとチョロ熊さんは空を飛んで次々と抱えて来てくれた。
そして、非常に気が付くようで縛るためのツルを大量に持って来てくれた。
それを皆で棚の様にして建てた。
大陸ドラゴンの背中であるが、木はしっかりと根付いているので、それを利用して日本で言う藤棚ようなものを作った。
その棚の上に配線を這わせて、LEDランプをつけた。
それぞれが風車用のダイナモに繋がっていて、いくつもの風車が回って電気を供給した。
それらは時間かがかかったが、チョロ熊さんがいろいろと手伝ってくれたので、夜には出来た。
結果として、空を飛ぶ巨大な大陸ドラゴンの上に藤の果樹園で使うような棚を作ってLED電球を這わせたのだ。
その結果とんでもない風景が出来た。
「ほほう。綺麗なものでは無いか」
そうチョロ熊さんは喜んでいた。
そして、寄生魔獣の猫さん達は凄く驚いていた。
子猫達は喜んで盛んに天音や智子にすりすりとしていたが……。
「こ、これは……」
「ええと……」
藤棚にLEDランプが並ぶことで、恐ろしい光景が拡がっていた。
「これ、ビルの屋上とかにあるビアガーデンだよね」
天音が躊躇なくハッキリと言ってしまう。
そう、明るい部分を増やそうと藤棚でLEDランプを拡げた結果、どう見ても夏のビルの屋上でやる納涼のビアガーデンの会場みたいになってしまった。
何しろ、空を飛んでいる大陸ドラゴンの上だし。
「ビアガーデンだと? 」
その時、少し嫌な予感がした。
チョロ熊さんの物珍しそうな目が光ったのだ。
「うん、夏の高い建物の屋上で料理やビールってお酒を飲んで納涼で楽しむの」
「ほほう」
チョロ熊さんの目の輝きは止まらなかった。




