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第五部 第五章

 信じられないことに作戦は実行に移されることになった。


 ラティエル騎士団のアルヴィン騎士団長がそれを仰せつかった。


 彼は筋肉団子のヘンリー騎士団長と違って理知的で冷徹な性格をしていた。


 やや長身の痩せ型に見えるが、長剣の使い手として名が通っており、銀髪でブラウンアイがその冷徹さをさらに際立たせる美形な容姿をしていた。


 そして、クラスペディア騎士団のハロルド騎士団長がその敵を勇者と迎え撃つことになった。


 ハロルド騎士団長は白髪で黒目で老齢だが、長い戦の経験があり、ベテランの騎士団長であった。


 老齢だが頑強な身体をしており、昔は猛犬ハロルドと呼ばれていたほどだ。


 だが、その老練で勇猛な戦いぶりに対して、至ってまともな人物であり、最初に作戦を聞いた時には彼だけは止めた。


 国民にわざわざ被害が出る様な事はするべきではないと言う至極真っ当な意見でだ。


 だが、それはエゼルレッド王とキャサリン姫の耳には届かなかった。


 女神エルティーナですらである。


 グレバリー公爵などは陰険で禄でも無い作戦ばかり考えるので、意見の対象外であったが、女神エルティーナすら意見を聞いてくれないのはいささか計算外であった。


 だが、老練で勇猛でもあり犬に例えられるだけあって、彼は王家に対する忠誠心も高かった。


 君君たらずとも臣臣たらざるべからずの古い気風の持ち主であったために、結局、それは実行に移された。


 ラティエル騎士団のアルヴィン騎士団長が選ばれたのは非情な命令でも冷徹にこなすからであって、オーガの子供を攫い、拷問して引きずって城に連れて来るのに適していたからであり、クラスペディア騎士団のハロルド騎士団長が選ばれたのは老練であるがゆえに、この城にオーガ達が攻めて来るのを勇者である大悟に怪しまれないように戦わなければならないからだ。


 あくまで襲撃を受けて自然と勇者とともに戦わねばならず、さらには国民の被害も自然に少なくしなければならない。


 その老練さは、それをやってのけるのに必須のものだった。


 勇者の大悟も神官の茜も賢者の慎也も不信感からか非協力的で、あまり城から出ていなかった。

 

 それゆえに外で行われるオーガに対する残忍な行為には気がつかれずに実行された。


 ラティエル騎士団のアルヴィン騎士団長はその冷徹さで、あっという間に子供のオーガを攫うと、簡単に死なない様に木の杭を刺して引きずって城に連れ去った。


 その引きずった跡をオーガ達が追跡して来る計画であった。


 その夜にそれは始まった。


 

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