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第五部 第四章

「では、ひょっとすると、勇者をこちらが召喚したのを知って、あの者どもを加護を与えて人族に対して造反させるつもりなのでしょうか? 」


 グレバリー公爵が心配そうに聞いた。


「後からちょっかいを出してきたことを考えれば無いとは言えぬことだな」


「となると、こちらの対応に不信感を感じており、歓迎パーティーまでしたのにこちらに非協力的な勇者殿がどう動くか不安ですな」


 エゼルレッド王が渋い顔をした。


「あの小娘の神官も仲間を大陸ドラゴンの背中に飛ばされたのを酷く非難してましたからな」


 どうも、茜に対して不信感を持っているのかグレバリー公爵がしきりと神官の名前を出した。


「我が勇者としての素養を見つけた男だ。もしも、敵側についたとしても勇者としてのスキルを取れば良いが、それでは召喚した勇者を無くすことになる。しかも、別の素養のあるものも異界には今のところ見つかっておらぬしな」


 女神エルティーナが困り果てた感じになった。


「それは簡単ではありませんか。彼らは番外組とやらにいる仲のあまり良くない相手にすら仲間として心配してました。つまり、根本は優しいという事です」


 そういきなり書斎で話しているエゼルレッド王と女神エルティーナにいつの間にか書斎に入ってきたキャサリン姫が話しかけて来た。


「おお、キャサリン。わが娘よ。何か妙案があるのか? 」


 エゼルレッド王が嬉しそうに聞いた。


 キャサリン姫はいずれなる女王としての威厳もあったが、それ以上に策謀に長けていた。


「優しいのなら簡単ですわ。キングオーガにこの城を襲撃させましょう」


「な、何? 」


「それは……」


 エゼルレッド王とグレバリー公爵が驚いた。


「魔獣の襲撃を受けて、城が攻撃されて国民に被害が出れば彼らは必ず助けるでしょう。そうすれば魔獣が敵である事を理解するでしょうし、まさか魔獣を殺したものを獣魔神ライが調略するとも思えません」


 キャサリン姫は非道な事を淡々と話す。


「アイディアとしては面白いが、どうやって山にこもるキングオーガを城に誘導するのだ? 」


「すでに前の戦いもありましたし、三大騎士団のうちのラティエル騎士団とクラスペディア騎士団のどちらかにオーガの子供を攫わせるのです。オーガは子供に対して愛情が深い種族。子供が攫われて、この城に連れていかれて拷問されて悲鳴を上げれば、必ず取り返す為に襲撃してきます。勿論、城に攻め込ませるのですからこちらの王国の国民の被害は最小限にしないといけませんが……」


「おお、流石は我が娘だ」


 キャサリン姫の非道な提案にエゼルレッド王が抱き着いて喜んだ。


 女神エルティーナもグレバリー公爵もそれを感心していた。


 魔獣は絶対悪の視点しか持たないので、非道な事も人族では肯定されるのであった。

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