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第四部 第八章

「やはりっ! やはりなっ! イーグルベアだと! 悪魔の使者と言われる魔獣では無いかっ! やはりかっ! 貴様らは人間の敵だという事だっ! 」


 そうヘンリー騎士団長が叫んだ。


「いや、知らんが……」


 そう陸が素で答えた。


 そのイーグルベアのあまりの巨大さと羽根を拡げた姿に天音と健と智子も必死になって首を振った。


「はははははっ! 嘘をつけっ! 貴様らのまわりにいる猫の魔獣が同じように……」


 そうヘンリー騎士団長が叫んでぎょっとした。


 陸と天音達もぎょっとした。


 親分を始め全ての猫の寄生魔獣達が動物がするようにお腹を見せるように寝ころんで、すでにイーグルベアに対して全面降伏していた。


「こ、これは……」


 陸が衝撃を受けている。


 もう全ての寄生魔獣の猫達がすでに降参しているのだ。


「ど、どどどどどどどとどうするの? 飼い猫がする全面降伏の姿なんだけど……」


 そう天音が助けた子猫を撫でながら突っ込んで来た。


「野生の猫はお腹を見せませんから、飼い猫が見せる最大級の降伏の仕方ですよ」


 そう智子も動揺していた。


「し、仕方あるまい」 


 そう陸が呟くと、同じように寝転ぶとお腹を見せて降伏した。


 とても、自分程度の低レベルのコミニュケーションスキルが効くとは思えないほど強そうだったからだ。


 結果として、天音達も腹を見せて降伏のポーズを取った。


「なななな、何をしている! 」


 ヘンリー騎士団長が陸に叫んだ。


「降伏です」


 陸が簡潔に答える。


「は? 馬鹿じゃ……」


 と言った瞬間にヘンリー騎士団長とエイブラムがイーグルベアの片手にひと薙ぎされて宙を飛んでいた。


 それはまるで思いっきり蹴ったサッカーポールのように空を飛んで、腹を見せながら唖然としている陸達の前で大陸ドラゴンの背中を超えて飛んで地上に落ちていった。


 信じがたい膂力を見て、陸達が腹を見せたまま呆然としていた。


 勿論、寄生魔獣の猫達もだ。


「何故かと聞きたいようだな……」


 その魔獣は何故か人語を話した。


 それは陸だけでなく、天音や健や智子がえって顔をしたのでも皆が驚いているのが分かる。


「簡単だ。何か薬を身体全体に塗り込んでいるから食べたら腹を壊すからな」


 そうキラリと目を光らせて、そのイーグルベアは答えた。


 そして、羽ばたくと空を飛んでいく。


「え? 」


「聞きたい事と違うんですけど……」


 唖然として呟く陸と天音を残して、その巨大なイーグルベアはその巨大な羽根で空を飛んでいく。

 

 陸達だけでなく、寄生魔獣の猫達がそれを唖然として見送った。


 結局、何が何だか訳の分からない出来事だった。


 

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