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第四部 第六章

「剣だっ! 剣を返せっ! 子猫を殺されたいかっ! 」


 ヘンリー騎士団長が叫ぶ。


 親分達は威嚇を続けた。


「どうした? 聞こえないのかっ? 」


 ヘンリー騎士団長が子猫の首をこれ見よがしに掴んで見せる。


 親分達が爪を全開で出した。


 だが、陸達の見る限り、弱小の魔獣の種族である事も理由の一つかもしれないが、猫の寄生魔獣は酷く仲間に対しての仲間愛と言うのが強いようだ。


 陸が前に親分達に聞いた所では、子猫を猫質に取られた時も、結局、要求を聞いて子猫を取り戻したらしい。


 恐らく、その辺りを見透かされているのだと思われた。


 つまり、子猫の命を盾に押せば引くと見たのだ。


「あんたら! 子供を人質にとって! 恥ずかしいと思わないのっ! 」


 天音が叫ぶ。


 だが、ヘンリー騎士団長は嘲笑うだけだった。


「魔獣をどのようにしようとも関係ない! なぜなら、こいつらは魔物なのだ! 魔物と分かり合えると思う方がおかしい! だから、お前達も魔の者なのだろう! エイブラムっ! これが真実なのだっ! 」


「し、しかし、命を助けて貰ったのですよっ! 」


「お前まで魔にとらわれるなっ! 」


「こ、この糞馬鹿がっ! 助けるんじゃなかった! 」


 天音がヘンリー騎士団長に首を掴まれてぐったりとしている子猫を見て叫んで突進した。


 子猫を助けようとしたのだ。


 だが、一瞬にして子猫の首を片手で持つと、もう一本の手で鉄鎚うちと呼ばれる小指側を叩きつけるようにしたパンチで天音を殴った。


 中世ヨーロッパでの騎士の武術を見ると、拳でボクシングの様に殴らない。


 それは拳で殴ると拳面を痛め、指の関節部が折れたりすると剣が握れなくなるからだ。


 天音が巨漢のヘンリー騎士団長に殴られて、地面に叩きつけられた。

 

 だが、天音が反射的に打撃を受けるポイントをずらしていたようで、それで動けなくなることは無かった。


「ああっ! 女の子をっ! 」


 智子がそれを見てキレた。


『止めろっ! 』


 陸が自らのコミニュケーションスキルを全開にして叫んだ。


 それは相手に友好を問うやり方とは違う使い方だった。


「ぬっ! 」


 そして、それは意外な事にヘンリー騎士団長の天音への追撃の鉄鎚打ちを止めた。


 ヘンリー騎士団長がその事に少し動揺していた。


 手は殴れなくなり、震えた。


 陸はコミニュケーションスキルを洗脳スキルへと変えようとしていた。


 何故か、スキルの成長のさせ方を知っていたように陸は行った。


 強く思う事こそが変化を生むと、叔父に良く言われていたからだ。



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