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第四部 第五章

 その時、寄生魔獣の子猫が何匹も天音を一緒に寝ようとミャウミャウと誘いに来た。


 健も智子も陸にも同じように服をくいくいと噛んで引っ張る。


「ああ、もう寝る時間なのね」


 そう天音が微笑んだ。


 そして、智子も子猫の喉元を撫でてあげた。


 子猫達は気持ち良さそうにしていた。


 その時、パキリと木を踏む音がした。


 そして、その外側にいた子猫をその木を踏んでへし折った男が首を絞めるように捕まえた。


 それはヘンリー騎士団長だった。


「やはり、姿も魔獣に近くなってしまうと、人間の心は少なくなるようですな」


 そうヘンリー騎士団長が冷やかに笑った。


「いや、待ってください! おじさん! 」


「馬鹿っ! カルナード騎士団内では騎士団長と呼べと言ったでは無いかっ! 」

  

「いや、そんな事よりも、私達は助けて貰ったのですよっ! 」


「確かにそれは大切な事だ! だが、彼らは魔獣なのだ! 悪魔が作り上げた怪物なのだぞ! 」


 ヘンリー騎士団長は子猫の首を締めながら叫んだ。


 子猫が首を絞められて喉が締まるようにうめき声をあげた。


「やめてっ! 子猫なんですよっ! 」


 天音が叫んだ。


「ほら見ろ! こいつらは魔獣の味方だ! 敵でしかないのだ! 我らの人族の言葉を喋っているとはいえ、彼らも魔獣に取り込まれてしまったものなのだ! 」


 ヘンリー騎士団長がエイブラムに叱責するように叫ぶ。


「しかし、女神エカテリーナの勇者召喚で一緒に来た人間なんですよ! 」


 エイブラムが叫んだ。


「だまされるな! 奴らは我々の敵だっ! この魔獣達と仲良くしているのが、その証拠だ! 」


 ヘンリー騎士団長が叫ぶ。


「フーッ! 」


 気が付くと親分達と寄生魔獣の猫達がヘンリー騎士団長を取り囲んだ。


「見ろ! 奴等がどちらの味方か分かるだろう! 寄生魔獣の猫どもは我々カルナード騎士団の団員は取り囲んでも、あの亜人どもは取り囲まない! 」


 ヘンリー騎士団長がそう胸を張った。


「馬鹿じゃないのっ! そりゃ子猫の首を絞めてたらそうなるわっ! あんた達を助けるのを許してくれたのは魔獣の猫達なのに! 貴方は恩も感じない人間な訳っ! 」


 天音が叫んだ。


「いや、それはその通りで……」


「エイブラムっ! だまされるなっ! 奴等は我らの剣を隠したのだ! 人と魔獣は分かり合えるものでは無いっ! 」


「いや、それは助けて貰っておかしくないですか? 」


 ヘンリー騎士団長に智子も食って掛かった。


 子猫が泡を吹き出していた。


「ハーッ! 」 


 親分が段々と憎悪の詰まったような唸り声に変わった。


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