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第三部 第七章

「して、密命とは? 」


 ヘンリー騎士団長はズカズカと聞いて来た。


「それは密命ですので……」


 そう陸が断った。


「それはご安心ください。カルナード騎士団はジェイド王国の極秘任務にも必ず参加しているほどの騎士団でありまして、三大騎士団の筆頭と考えても宜しい騎士団なのです」


 そうヘンリー騎士団長は少し身体を起こして誇らしげに断言した。


 その騎士団長が、敵地に取り残されて滅ぼす相手であった大陸ドラゴンの食い残しを漁っていたと言う事実。


 まして、その大陸ドラゴンの背中に寄生している寄生魔獣の猫達が作った干し肉を盗んで食べて脱水症状になって命を落としかけるとか……。


「世の儚さを感じますね……」


 ほろりと陸が呟いたら、天音が肘うちをして来た。


 幼馴染の天音からしたら、陸は何時も一言多いのである。


 それで、下手な敵を作るので、それを注意したつもりであった。


「武辺ものと言うものはそういうものです。王国の為に命をかけて何時でも散っていく覚悟なのです」


 ヘンリー騎士団長がしみじみと呟いた。


 陸の言葉はヘンリー騎士団長のポジティブな解釈により、戦いでボロボロになった自分を心配しているのだと勘違いされた。


 実際は、陸は単に大陸ドラゴンの食い残しはともかく、寄生魔獣の干し肉を盗むなんてと呆れていたのに。


「いや、話がずれそうなんで、さっさと話したら? 」


 天音が突っ込んだ。


 その突っ込みが、陸がさらに余計な事を言うのを防いだつもりなのは陸は知らなかった。


「勇者が召喚されました」


 さらりと陸が一番大事な話をした。


「……おぉぉおおぉぉぉおぉぉぉぉぉぉ」


 ヘンリー騎士団長が涙を流す。


 どうやら、人族側にとって悲願の話だったようで、ヘンリー騎士団長の喜びは隠せなかった。


 大悟は皆の希望だったようだ。


「そんな、大したものでは無いと思うけど」


 天音の大悟の評価は結構きつかった。


「は? 」


 少し驚いたようにヘンリー騎士団長が顔を上げた。


「いや、まあ……実は……その時に一緒に勇者と召喚されたものなのです。我々は」


「おおぉぉぉぉぉ! 」


 ヘンリー騎士団長がそう衝撃を受けた。


「そして、私は魔獣達との交渉にとの密命を受けてここに居る魔獣達と会話する為に、魔獣の身体に女神エルティーナによって転移転生させられまして……」


「は? 魔獣と交渉? 」


 陸の言葉にヘンリー騎士団長が唖然とした顔で見ていた。


 それも、何を言ってるんだ、この男は?


 って感じで、魔獣と交渉する自体が理解できない感じであった。

 

 それで、陸も状況の難しさを再確認して頭を抱えた。


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