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プロローグ 第三章

「何だ、番外組に行くのか……」


 すれ違いざまにそいつが言った。


 もう一人の会いたくない男だ。


 幼馴染の那智大悟(なちだいご)である。


 今はさっと刈り上げて軽くパーマをかけた髪をしていた。


 とはいえ、武道でもしているような容姿は変わらず、生真面目を看板にしているような男であった。


 勿論、頭も良くてスポーツマンでと言う感じなんで女性にはモテているようだ。


 その横には同じAクラスの古関慎也(こせきしんや)である。

 

 ちょっと洒落た眼鏡をかけた爽やかで温厚な男だ。


「いやいや、今回は大変だったね」


 そう慎也が本当に気を遣って話してきた。


「寝る奴が悪い」


 そう大悟が失笑した。


「それは言いすぎだよ。天音さんは陸上部も頑張ってるんだから」


 慎也がそれを注意した。


 慎也のその姿を見て、男の子はかくあるべきだろと天音は思った。


 爽やかで気遣いが出来て、ああこんなのが幼馴染ならと天音は祈りたくなった。


 陸も大悟も顔は良いのだが、性格が難しすぎた。


「まあ、天音ならすぐ戻って来れるでしょうね」


 そう瀧口茜(たきぐちあかね)が苦笑して話す。


 学校で一番の美少女と呼ばれる女の子だ。


 たまに話すが幼馴染の陸や大悟みたいに面倒くさくなかった。


 天音は、また、ああ、こんな子が幼馴染ならとまた思った。


 その時、廊下の先の番外組がある所をちらと見た大悟が不機嫌になった。


 番外組は実際には陸達の能力が実はAクラスなせいもあるので、Aクラスの奥の準備室に作られてあった。


 そこから、陸達が出て来たのだ。


「やあ、今日から仲間だって? 」


 そう陸が笑った。


 陸はツーブロックにしたさらさらのストレートパーマの髪をしていて、見るからに美男子だった。


 実際、いつも爽やかに笑っていて、女性にはモテモテだった。


 ただ、幼馴染の天音からすると仮面を被ってそうで本当に嫌だった。


 天音の顔が歪む。

 

 教室から、陸の友達の坂下健(さかしたけん)沼口智子(ぬまぐちともこ)が出て来た。


 どちらも痩せ型で度の強い瓶底眼鏡をつけている。


 はっきり言って、そっくりに見えた。


 二人は陸の友達とは言うものの、陸の信奉者に近かった。


 陸は普段から要領とヨイショとかを大事と言うだけあって、激高する事もなくいつも優しく笑っていた。


 話し合いで屁理屈を言い出して困らせることはあるが、妙なカリスマ性を持ってしまったらしくて、友人同士のトラブルを綺麗に収めるので、一目置いている先生や先輩もいる。


 天音には分かったが、実は彼の叔父に似ていた。


 叔父は泥沼の中で咲く蓮の花みたいな所があった。


 それで、ヤンキーとか素性の悪い連中からも好かれていて、その中で交わっていても、そこに染まらない不思議な強さを持っていた


 まあ、陸の叔父ほどではないけれど、異様なカリスマみたいな部分が陸にあるのは天音も認めていた。


 もう一つの噂では番外組に陸が回されたのは、この坂下と沼口の二人以外に影響を受ける生徒が出ると困るからとか言われてた。


「ちっ! 」


 陸を見て大悟が舌打ちした。


 慎也がそれをおいおいと窘めた。


 そして、そこの場所に葛西教頭が階段を上がってきていた。


 二年の教室は三階にあったからだ。


 そして、それはその時に始まった。


 

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