第三部 第一章
真っ暗な中を陸が様子を見ながら進む。
寄生魔獣の猫族の力を受け継いでいるせいか、暗闇が良く見える。
横に親分と天音が付いてきていた。
親分は仕方ないが、天音は止めたのについて来た。
背中には水分用のバナナの木のようなのを爪で切り揃えたのを背負っている。
ツタで背負子みたいにしていた。
正直、助けるどころか殺しあいになるかもしれないぞとは言ったが、それでも何かあったら対応できるかもしれないしって天音は言い張った。
理由は簡単でゲンノショウコによく似た野草を見つけたらしい。
鳥が糞をするにしても変な話なのだが、結構意外と意外なものが大陸ドラゴンの背中には生えているようで驚く。
天音が言うには日本ではどこにでもある野草なのだそうだ。
採取の時期的にはあっており、それを昼間を干しておいたようだ。
本当は煎じて飲むのだが、今回は時間が無いので粉にして水で溶いて、そのまま飲ますと断言している。
祖母から教えてもらったそうだが、日本の代表的な民間治療薬であり、漢方薬ではない。
ただ、効くのはお墨付きで、験の証拠からゲンノショウコと言うそうな。
それと、おなじみのドクダミを見つけて干していた。
こうしてみると、意外なくらい植物相が前の世界の日本と似ている所に気が付く。
何か関係あるのだろうかと思う位である。
魔獣がいたり、こんな大陸ドラゴンがいたり、動物は全く違うのに。
昔から、天音の祖母がそういう事は物知りなのは幼馴染なので知っていたが、こういう野草の薬草的知識は陸にとっては有難い。
すでに、昼間の下痢の匂いもすっかり、新鮮さが無くなっていた。
つまり、出し切って、その出し切った下痢が地面で乾いてしまったのだろう。
「やっぱり、出し切って乾いているよね」
「嗅ぎたくないけどね」
「そう言うのを嗅ぎ分けてしまうのは辛いな」
そう陸がちょっと悲しい。
だが死んでいるわけでは無く、たまにうめき声が聞こえた。
親分がミャウミャウ話す。
「なんて? 」
「本当に行くのかって……」
「いまさら? 」
天音が少し呆れた。
「普通は行かないだろと」
親分の言う事は分かる。
魔獣の間では人間は毒を持っていて食べるといけないとされていて、放置するのが普通なのだそうな。
そのあたりも、陸にとっては良く調べたい話なのだが、虫除けか何かで身体に何かを塗ってきているらしくて、それが鼻を刺激すると親分は語っていた。
それでも食べた魔獣が死んで、そういう話が広まったようだ。
親分の話だと大陸ドラゴンに乗り込んで来た当時はその手の刺激物の匂いが酷かったらしい。
その辺りも陸は知りたいと思っていた。




