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最終部 第十三部

 天音のまま陸が無意識の集合体のある世界の中に入っていく。


 中核に巨大な真っ黒い無意識集合体の球体の核があり、その横に同じくらい大きな光り輝く空間がくっついていた。


 そして、その前に黒いものに囲まれた陸が蹲っていた。


 その中核の意識から離れたところで、天音と子供の陸は分離した。


 無意識集合体の集まる闇の中で別れてしまったので、子供の陸は少し焦っていた。


『おおおおっ、分離しちゃた。無意識集合体って、こんな風になっているのか? 』


「分離しちゃったじゃねぇわっ! 何だ、この私の改造の仕方はっ! 」


 天音が子供の陸の胸倉をつかんでぶるんぶるんと振り回した。


『ごめんごめん。負けたら、駄目だから、しょうがないやって改造してたら、ドンドン進化させちゃって』


「もう、人間じゃないじゃん」


『大丈夫。人間として存在しているし、元にも戻せるよ』


 そう子供の陸が頭を掻いた。


「あんたも、四季ほどじゃないけど、嘘を言うしな」


『いや、僕は嘘は言わないでしょう。知らない事を適当に言って違ってたとかはあるけど』


「いや、じゃあ、変わんねぇじゃん。適当に言ってんじゃないよね」


『それは大丈夫。天音を間違えて怪物にして、それから人間に戻してを随分繰り返したから経験は十分だし……』


「お前っ! どんだけ私を改造してたんだ! 」


『だって、手探りだもん』


「そう言う所がおかしいって言うんだよ! 自覚しろよ! 」


『いや、結構、僕が四季と似てるとは思ったんで、反省してます』


 そう子供の陸が本気ですまなさそうに頭を下げた。


「しょうがない。じゃあ、ちゃんと戻せよ! 」


 凄く反省しているのが、幼馴染の天音にはわかったので、深く深呼吸して答えた。


『うん! ありがとう! 』


「くっ! 」


 天音が少し後退りした。


 それほど、子供の陸の笑顔がまぶしかったからだ。


「本当に悪いとか思ってんのかな。四季さんもこんな感じだったな。そういやぁ」


 天音が呻く。


 神代はそうやって人を蕩けさせる様な顔をして人の心を騙してきた一族だ。


「まあ、神代の業だな」


 そう隣の誰かに言われて天音が呟くと、そこには四季がいた。


 自爆したせいか、血まみれだった。


 その上に胴体も半分にちぎれていたらしく、そこが今、目まぐるしく無意識集合世界の中で肉体が元に戻っている最中だった


「お前っ! 」


 天音がパッと離れた。


『いや、もう、四季は死んでるよ。すでに身体全体が掠れているだろ? 本体がある僕とは違う。う。その損傷からすると……やはり自爆したのか? 』


「そうだ。それと、一応目上なんだから、四季さんとか言ってくれよ。もうじき、消えるんだし」


 そう四季が苦笑した。


『黙って無意識集合体に溶け込めば良かったのに……』


「まあ、そう言うな。陸にかけた呪いを解いてやろうと思ってな……」


「あれ? 昔の四季さんみたい」


「ああ、今にしてみれば俺のコンプレックスが爆発させられてたのは、神とやらのせいかもしれん。神の考えではギリギリのラインの奴にはそういう部分が覚醒で必要らしいからな」


 そう四季が苦笑した。


『本当に? 』


「いや、だから、神がお前を触って後悔したとか言ってたろ。神はそういう父親の禍津族へのコンプレックスを増大させて覚醒したらしい。それで、陸を触ったらコンプレックス無しで覚醒してビビったそうだから」


 四季が呆れたように肩を竦めた。


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