最終部 第十二部
地と空と海にある人族、獣魔族すべてのものが変形を続けている大陸ドラゴンの元へ集まってくる。
それは陸の共有で憎悪を共有して四季を殺しに集まってくるものだった。
『どちらにしろ、陸が死なないと止まらないし、止まらなかったとしても、神代としての意地がある。例え、その先が地獄だとしても、陸と道連れなら悪くない』
四季が堂々と言い切った。
それと同時に陸の渦の中に隠し持っていた高性能の手榴弾を次々と投げ込んだ。
それは渦の中で異様な爆発を起こす。
『待て。……持っていけ、少年よ。これであの空間は割いて入れる……』
血まみれになりながら、這いずるように禍津族の神が蛇のような刃の槍を子供の陸に乗っ取られた天音に渡す。
それを一瞬にして受け取ると、それで空間を切り裂きながら、渦になった陸の中へ子供の陸に乗っ取られた天音が飛び込んだ。
子供の陸に乗っ取られた天音が肉体のまま蛇のような刃の槍によって切り裂かれて無意識集合体のある空間の宇宙の中へ飛び込んでいく。
その先には身体を怪物のように変形させながらも、蹲った陸がいた。
『馬鹿な! 全ての無意識世界に、禍津族の神の槍を持っているとしても現世の肉体を持つものが飛び込めるはずが無いだろう。そんなものはもはや人間ではない。最初から、人間から作り直して今の天音を作り上げていたのか。その為に天音はキメラを超える身体になっているはずだ。まさか、自分の肉体の中の自分の魂だけでも助けるつもりでやったのか? お前も利己的なのは俺と変わらんだろうが! 所詮、神代の血なのだ! 結局、えげつなさでも陸に負けるとは……』
四季が絶望的な声を上げた。
大陸ドラゴンはその肉体を変えつつ、大悟達を守るように包むようにいくつもの羽根が背中に生えて彼らを覆っていく。
そして、猫の寄生魔獣達も肉体を変えつつ、壁のように羽根の中で大悟達を守る。
『これは狂った方の今の陸がやっているのか? 自分の力の暴走から友達を守ろうと……これだけやれるなら、陸の魂の核だけは取り返せば、子供の陸は身体すらも再生できると思っているのか? そうはさせんよ。ともに死ぬと良い。お前ほどの奴と刺し違えたのなら、まあ良しとしよう』
四季がそういうと自分のベルトを触った。
それはヘンリー騎士団長がつけていたものと同じものだった。
「糞、ボケが! 」
月兎が四季の自爆を知って吐き捨てた。
凄まじい爆発音とともに大陸ドラゴンの上部は飛び散った。
それはヘンリー騎士団長の爆発を超える凄まじい爆発だった。




