最終部 第七章
四季のサブマシンガンの攻撃ですでに月兎や大悟達は伏せていた。
御鏡の防御陣はあまりの陸の怨念のような呪を避ける為の精神的な防御陣に特化させていたので、サブマシンガンなど銃器の弾の攻撃は防げなかった。
だからこそ、禍津族の神は四季の攻撃を防げなかったのだ。
そして、四季はともかく、ヘンリー騎士団長は陸の異様な呪の攻撃を全く影響を受けていなかった。
単純すぎる思考と獣魔を滅ぼすべきとの女神エルティーナに対しての独自の信仰に狂信して、脳が筋肉なために陸の共有に全く影響を受けなかったのだ。
恐るべき最後の人間兵器だった。
健と智子すら伏せに近い体勢でしゃがんだ。
それによって、次の攻撃を避けるつもりだった。
そして、その間に騎士鳥から四季とヘンリー騎士団長は飛び降りると、四季は即座にしゃがんで伏せに近い体勢に移行したが、ヘンリー騎士団長は立ったままで抜剣した。
まさに、筋肉ダルマにふさわしい行動だった。
マシンガンの威力を目の前で見ていて、敵が持っているかもしれないと考えるのが普通なのに、彼は全く気にしていなかった。
「ふはははは、獣魔族に味方するものどもよ。我が筋肉による剣技によって散れ。我が名はジェイド王国最強のカルナード騎士団の騎士団長であるヘンリー騎士団長であるっ! 」
もはや、獣魔族がどうのの話はとっくに終わっており、そこからすでに考え方が港ずれているのだが、さらにはこの銃器がある状況で名乗りすらあげていた。
昔の騎士の戦いのようである。
「筋肉がどうかは知らないが、これが止めれるかね? 」
月兎が容赦なく手に持っていた9ミリオートマチックの拳銃をヘンリー騎士団長に発射する。
「ふははははははははは! この程度の攻撃で私の筋肉を貫通できるものか! 」
そうヘンリー騎士団長が叫んだ。
とはいえ、弾は当たっており、出血はしていたが、筋肉である程度止めているらしくて剣を抜いて撃たれても撃たれても大悟達に近づいてくる。
「嘘だろ? なんだ、このアホは? 」
「こ、これは……」
慎也が驚いた。
「その通りです。19世紀の米西戦争でフィリピンにおけるアメリカ軍と現地のモロ族との再現ですね」
健が防御陣を張りながら答えた。
「19世紀の米西戦争でフィリピンにおけるアメリカ軍と現地のモロ族との交戦で興奮状態で突撃してくるモロ族に対して38口径(9ミリ)回転式拳銃を装備した米軍は銃撃したが、何発も弾を受けてモロ族は攻撃をやめなかったという奴だね」
「そうだね。その結果、米軍はよりストッピングパワーのある大口径の45口径に装備を移行してM1911A1ガバメントをサイドアームとして採用して使い続けた理由になるんだよ」
そう嬉しそうに健と慎也が語り続ける。
「いや、それどこじゃないんですけどね」
智子が呆れて突っ込んでいたが。




