最終部 第五章
『まずいな。僕が消えるのはもう少し待ってほしいのに』
指が消えた自分の身体を見て子供の陸が呟く。
「おおおおおおおおおお! 何か流れこんでくる! 酷い憎悪だな」
月兎が騒ぎだす。
『ちょっと憎悪が逆流を始めてるのかもしれない。共有で洗脳されたことが無いものにも多少の影響が出だしてる。共有と言う方式だから、洗脳の全体まで流れているのか……』
子供の陸が呻く。
「……これは、陸さんが近くにいるから難しいですね」
「二人がかりなら何とか行けるかも……」
健と智子が御鏡の防御陣を陸以外に張った。
「陸は?」
「呪の根本だから、入れるのは無理です」
「仕方ないですよ」
健と智子が天音に答えた。
すでに陸の本体は上半身は黒い渦のように見えた。
「大丈夫なのか? 本体は? 」
「これじゃあ、勝ってもただではすまないのでは? 」
大悟と天音が心配した。
『まあ、自爆攻撃だからね。事実上の……』
「また、無茶苦茶してるしなぁ」
子供の陸の言葉に大悟が呻く。
「どうして! どうしてそんな事をするんですか? 」
茜が叫んだ。
涙が出ていた。
陸を心配しているのだろう。
『四季も僕も神代が産んだ怪物だから。だから、これくらいはしないと勝てない。四季には勝たないとまずい。あれは神より厄介だ。神は禍津族と父に対する憎悪があったが、四季は自然体で人を傷つけれる。月兎さんは宗主代行が僕の護衛で監視させるために出すのが分かったから、四季からガードしていた。でも、やはり暁さん達は全部洗脳してたみたい』
「はあああ? 暁さんは何をやってんの? 」
「え? 日葵さんもですか? 」
月兎と岩魚が驚く。
『それだけタチが悪い』
「いや、私を操ってたあんたもたいがいだけど」
子供の陸の言葉に天音が呟いた。
『ごめんよ』
「えらく殊勝だね」
「本当だ」
子供の陸が深々と頭を下げたので、大悟と天音が訝しむ顔をした。
『多分、四季は自分の手で僕を殺しに来ると思う』
「はああああ? それを俺達にやらせる気か? 禍津族の神様に頼めよ! 」
「それか月兎さんにぃぃぃ! 」
大悟と天音が絶叫した。
『いや、コントロールされる可能性がある』
「何で、私とかコントロールされないわけ? 」
『完全にパーフェクトに防御されるように僕がしたから』
「いや、お前、あんま変わんねぇぞ! 四季さんと! 」
「ふざけんなよ! 」
大悟と天音が絶叫した。




