第二十一部 第九章
『やれやれ、困ったな。大陸ドラゴンごとミサイルで破壊して焼き尽くそうと思ったのに。皆がそこにいるから大陸ドラゴンを落とすだけで全部終わらせれるのに』
そう四季の言葉が皆に響く。
「大陸ドラゴンごと皆殺しとか良く考えておられますね」
「流石、四季殿」
そう健と智子が苦笑した。
『手っ取り早いだろ? 』
そう四季が笑っているように聞こえた。
『まずいな。思ってたより余裕だ。となると、次の一手はあれになる。どうする? 間に合うか? 』
『なるほど。やはり、陸は優秀だね? その対策は私も予想がつくけど』
子供の陸の言葉に四季が苦笑した。
『最初から、それが狙いで獣魔族に近づいたんだろう』
子供の陸が忌々し気に呟いた。
そして、その四季の次の一手が動いた。
それは凄まじい動きで大陸ドラゴンに斬りつけてきた。
身体を数段巨大化して、凄まじい殺気を飛ばしていた。
「ああ、駄目だ。悪いが、あれは受けれん。受けたら両断される」
月兎が呻く。
それは獣魔神ライ。
その凄まじい力を込めた斬撃が大陸ドラコゴンの上の陸に斬撃のような一撃を与えてくる。
ミサイルをある程度始末した健と智子が御鏡の絶対防御のバリアのような結界を張る。
だが、その攻撃はそれを砕いた。
さすが神である。
岩魚が呆然として項垂れている陸を寸前で運んで移動させて避けさせた。
「なるほど、側近でいる間に獣魔神ライの洗脳は完璧ですか」
「どうしょうも仕方ないですね」
健と智子が呻いた。
『直接に狙うな獣魔神ライ。狙うのはあくまで大陸ドラゴンだ。その高さから落ちれば生きてる奴なんかいない』
そう四季が命令しなおす。
『間に合った』
そう子供の陸が呟くのと、同時だった。
そこの空間が粉々に砕けて、そこに禍津族の神が七支刀を持って現れる。
「えええええ? 」
「おいおい……」
天音と大悟が呻いた。
全身の螺旋の入れ墨と42あるはずの手が10つの手に合わさって使える腕に変わる。
『息子さんはすいませんでした。できれば倒して連れて行きたかった』
『いいよ、私も見ていた。仕方あるまい。私も木から分離するのに時間がかかってしまった』
そう禍津族の神が答える。
『なるほど、木に取り込まれていたのは、身体を温存する為だという事か……』
四季が冷静に答える。
『その通りだ。新しいもう一人の神よ。そして、二対一という事で良いのだな』
禍津族の神が笑った。
それは戦いを挑む為の咆哮のような笑みだった。
『さすが。その通りですよ』
四季が笑った。
空間がゆがむと、禍津族の神の神を挟むように女神エルティーナが現れた。
こちらは冷ややかにこちらを見下ろしていた。




