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第二部 第四章

 そんな事を考えていた陸達は衝撃を受ける出来事があり、それどころでなくなった。


 親分とその他の寄生魔獣の猫がついてくる中で、干し肉の回収に向かった時の話だ。


 半分は回収していたが、まだ半分は干したままだったからだ。


 子猫が懐いたせいか途中までついてきていたが、親分たちの雰囲気が変わり、寄生魔獣の猫が子猫たちを取り囲むように守った。


「フーッ! 」


 親分が威嚇している。


 干し肉の干している辺りを見ると、何かがいる。


 ボサボサの髪でボロボロの服を着ている。


 人間のように、それは見えた。


「あれ? 」


「いやいや、まさかな……」


 そいつはこちらに気が付くと、干していた肉を慌てて、掴むと走って逃げ出した。


「ちょっ……! 」


 天音が叫んだ途端に陸が肘をついて止めた。


「何でよ? 」


「いやいや、親分が人族めっ! ってキレてる」


「えええええ? 」


 天音が横を見ると親分がフーフーとキレている。


「やっぱり、人ですか」


「動きがもろにそれでしたものね。腰に剣を刺してますし……」


「参ったな。それ以上にやはり人族とはやばいんだ」


 陸が今更ながらに気が付いて困った顔をしていた。


 それで、天音と健と智子が困った顔になる。


 姿が亜人の寄生魔獣の猫とのハーフみたいな感じになっているので、人族では無いから寄生魔獣の猫達は仲間にしてくれたような感じだ。


 人族に対しては並々ならぬ敵意があるようだ。


「どうするの? 」


「とにかく、残りの干し肉は回収しよう。これが無いと食べるものが無い。それと、夜のうちに行けそうなら見張りを願い出て、俺が会いに行ってみよう」


「危なくないですか? 」


「結構、危険ですよね」


「仕方ないだろ。こちらの世界の情報も得られそうだし。必要だ。剣を持って、革の鎧を着ているから、間違いなく、この世界の冒険者か騎士だろ」


「何で、そんな人が? 」


「大陸ドラゴン退治に来たんじゃないの? 」


「ど、どうやって? 大陸ドラゴンが落ちたら死ぬじゃん」


「というか、俺らの爪ってナイフみたいだけど、ドラゴンの表皮に傷もつかないし。強度的には剣の鉄と変わらん位に鋭いのにな」


「ああ、確かにそれだと刺せませんよね」


「サイズが違いすぎるし、蚊に刺されたようなくらいじゃないのかな? 」


「確かに……」


 陸の言葉に健も智子も天音も黙った。


 その逃げたおっさんらしい人を寄生魔獣の猫が数匹追って行った。


 住処を探るのだろう。


 にしても、敵の魔獣の中の魔獣の大陸ドラゴンの背中にいる人間と転移転生させられた自分達に何か意味があるのだろうかと陸は考え込んだ。

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