プロローグ 第二章
その日、鏡月天音は憂鬱だった。
三坂学園高校の二年の中間試験を頑張ろうと徹夜で勉強したばかりに、試験中に眠くて寝てしまったのだ。
その結果、まさかの中間試験で赤点になってしまった。
それを葛西教頭に呼ばれてとがめられた。
試験で寝るとはどういう事だという事だ。
天音にしたら、それなら起こせよと言いたいところだったが。
元々、身長百六十三センチ体重四十五キロ。髪をショートカットにしてボーイッシュな美少女の姿をしていたのが鏡月天音だったが、性格は本当に男勝りであった。
おしゃれを考えてショートカットにしたと言うより、髪が邪魔だった。
どちらかと言うと体育会系で陸上部にいたが、成績の方も悪くは無かったが、父母との話で良い成績を出さないと陸上を続けさせてくれ無さそうだったので下手に頑張ったら、こんな事になった。
そのままでも大丈夫だったのかもしれないのに……。
だが、それ以上に問題なのはたるんでいると懲罰として番外組に回されることになった。
そこは葛西教頭が自ら担任になると言う異様なクラス。
そして、そこには彼がいた。
神代陸とその仲間が。
陸は葛西教頭にどこを受けると言われてT大と即答した。
すると葛西教頭はもっと勉強した方が良いと忠告したら、陸はいつもの調子でいやもう入れますんでって言っちゃった。
神代家の遠縁の文科省の大物の人の養子に入る約束で、海外の大学に留学した後に、そこの大物の伝手で関係の深いT大の教授の教授推薦で途中の学年からT大に転学すると言う話だ。
そのコースだと論文だけで合格できるんだそうな。
しかも、合格はその推薦してくれた教授が採点だし。
恐怖のインチキコースであった。
どうも、また陸の叔父が関わっているらしいが、葛西教頭はそんな馬鹿なとブチ切れたらしい。
しかも、葛西教頭が自分の教育委員会の伝手でいろいろと調べたら全部事実だったらしく発狂するくらいブチ切れた。
大悟と同じでそう言う事が許せないタイプだったようだ。
まあ、普通の人も許さないだろうけど。
それで葛西教頭は陸に面談して、それを激しく注意したら、一言、「あの御方もやってるやり方ですよ」などと実名をあげて言ったものだから、もっと激怒した。
しかし、すでに手を回していたらしくて、文科省のお偉いさんから葛西教頭に直接に笑顔のお電話が入った。
それで、仕方なく、最後の条件として彼の教育をさせて欲しいと頼み、出来たのが番外組だ。
そんなわけで、あのアホがいなければこんなクラスが出来る事も無かったのにと天音はブチ切れそうだ。
そんな人生最悪の一日はその番外組に行くまでの途中で始まったのだ。