第二十一部 第七章
凄まじい御鏡の祝い言葉と四季のミサイル攻撃が真っ向からぶつかり合う。
御鏡は本当に特殊な一族で、神代家と分家とかが道を間違ったりしたときに、それを粛正する役目を持っていた。
それゆえに、神代家も知らないような祝い言葉をつかえた。
『良いぞ。このまま奴の持ってきたミサイルを始末させるんだ』
子供の陸がそう話す。
「いや、あくまで御鏡は危険人物が宗主になるのを防ぐだけです」
「本来は貴方が戦うべきなんですけどね」
健と智子が突っ込んだ。
「し、四季おじさんが危険人物なの? 」
陸が呻く。
「やり方がいろいろとえげつないんですよ。特に陰湿で……あたりは柔らかくて、優しく微笑んでやるから、余計にね」
「それと、これは大事なんですが。外での人望は最高ですが、身内からは評判がかなり良くないです。身内を道具のように使う癖がありますし。それだからこそ、逆に彼が神代のトップになれば分家との軋轢も出て、下手したら分裂もあり得ます」
健と智子が納得いかない陸に説明する。
「で、陸君は大丈夫なの? 」
「こんな変態野郎が? 」
慎也と天音が突っ込んだ。
「今回の事でも四季さんを心配してますし、頭が回るけど、根は悪くないです」
「意外と馬鹿なところがポイントですね」
「うぉぉぉおぉぃ! 」
健と智子の容赦ない分析に、子供の陸とか皆が突っ込んだ。
「いや、意外と大事かもな。あまり、皆がこのままだと自分が殺されるとか思わないのは大切だよ。馬鹿って見方をされてるのも良い。油断のならないトップってのはストレスしか呼ばないし。ちょっとくらい可愛いところがある方が皆も支えやすい」
大悟がそう呟いた。
「その辺を理解してることからすると貴方の方が適任なんですけどね、別の家ですから……」
「能力も受け継いでませんしね」
健と智子がそう大悟を賞賛した。
「「まあ、陸さんもあの辺は神代なんですけどね……」」
健と智子が大悟と天音を見た。
何かわからなかったが、キングオーガがどうやってか大陸ドラゴンの背に乗り込んできて、鉄の棒の剣でライオンの姿をしている陸を狙ってきた。
それを子供の陸が大悟を使って防ぐ。
またしてもだ。
「待て待て待て待て。また勝手に俺を使うな! 」
大悟が絶叫した。
『糞っ! 奥の手を使わざるを得ないか……』
子供の陸が呻く。
キングオーガの背中に凜がいた。
しがみついていて、二段攻撃をする動きだ。
凜がキングオーガの背中を離脱して、あの蛇の形の刃物を出して子供の陸を襲った。
それを信じがたい動きで天音が空を飛ぶかのように動いて前回り飛びの形で飛んで、身体を投げ出すようにかかとを凜に叩き込んだ。
「待って待って、私! こんな技とか知らないんだけど……」
天音が叫ぶ。
「大丈夫、君の身体に居候してた時に僕が使わせてもらって、戦闘マシーンに改造しているから」
そう、子供の陸が微笑んだ。




