第二十一部 第六章
「あーあーあーあーあーあーあーあーあ! 」
日葵が異世界からのメールを見て絶叫を続ける。
「なんだよ。弥生をやっと捕まえたというのに」
暁が騒ぐ日葵に突っ込んだ。
「こ、これ……」
日葵がメールの来たミニモニターを見せた。
「ええええと。神が四季に負けて死んだ。四季が覚醒してた。四季と陸の戦いが始まった。ミサイルが飛んでる。弥生さんはおとりではないか……だって」
「これ、もう、すでにほとんど終わってません? 」
「ああ、義人だからなぁ。あいつ、親父の教えでパニックになるとコーヒーとかで一服して落ち着いてから行動する癖があるんだ」
「緊急時にそんな人物を推薦したんですか? 」
「当主クラスだと、もういねぇじゃん」
「いやいや、当主クラスで無くてもいいのでは? 」
「いや、そうじゃないと動かないだろ」
「あちらの場所はすでに兵士達が陸に洗脳されて動きませんよ、誰も! 」
「……戻るか……」
暁が捕り押さえられて縄で縛られた弥生を心配していろいろと配慮している茂をちらと見て呟く。
「本当に行き当たりばったりですね」
「いや、知らんがなっ! 四季まで覚醒してんのは……ちょっと予想してたけど、ここまで入り組むともう、何が何だかわかんないし! 」
「逆ギレじゃないですか! 」
「神同士の戦いなんだから、しょうがないじゃん」
「いや、それに宗明さん! 貴方の弟の話ですよ? 」
「人材がいねぇんだからしょうがないじゃん」
「御鏡とかどうしてんですか? 神代の影で動くとか言って、この一大事に! あの一族はその為に昔から、いるのかいないのか分かんないけど、ここぞという時に出てくるって言ってたじゃないですか……」
日葵がキレ続けている。
「ほいほい」
暁がさっきのメールが来た画面を今度は日葵に見せた。
追加のメールが来ていた。
「御鏡が参戦? 四季と激闘を開始? はあああああ? 御鏡は四季さんの方を排除する方向なんですか? 」
「まあ、ここぞという時はずっと宗主候補を内偵してたりしてる御鏡の意見が通るからな」
「危険と見たんだろうな。俺も四季はちょっと戦いたくない。厄介だから」
「それを言ったら陸も変わらんだろう」
「いや、陸は根本の部分は馬鹿だから。四季は陰湿だろ。ちょっと根本が違い過ぎて……」
そう暁が言うと、誰も反論しなかった。
「やっぱり、皆、そう思ってたんだな、四季の事」
宗明がぽそりと呟いた。




