第二十一部 第五章
「どうなってるのかな? どうなってるのかな? 」
一人だけ代わりに来て、見張りとして残されていた御剣義人は混乱していた。
神人と言うレベルではなく、普通の人間に近いだけで、英才教育としていろいろと勉強させられて神代とその分家の資産管理とか運用とか人員コントロールには相当な経験があったが、ちょっとテレパスとかの能力があるだけの宗明の弟だった。
兵士達も子供の陸に洗脳されているらしく、会話もままならず、こんなとこに置かれてもどうしょうもない状態で、まさかの四季と子供の陸と陸と神のテレパスが聞こえる。
それを聞くと状況が激変しており、まさかの神が四季に倒されて、とうとう四季と陸の最終決戦が始まろうとしていた。
とりあえず、義人はコーヒーを入れた。
本当ならば分家とはいえ、当主の弟である。
即座にコーヒーとか秘書のような人物が入れてくれるような立場にあるのに、目の前にいるのは子供の陸に洗脳されて、瞳孔が開いた感じの兵士達がうろうろしているだけであった。
兵士が持ってきているインスタントコーヒーしか無いので仕方なく自分で入れる。
「ま、まあ、飲めるな……」
そうコーヒーを啜った。
インスタントコーヒーもメーカーによっては、何でこんなゲロまずと言うメーカーもあるが、有名なメーカーのせいか、そんなに悪くなかった。
某コンビニのコーヒーが値段の割に美味すぎるのでコーヒーの業務用の豆とかを卸してる会社とか困ってると聞くが、巨大なメーカーがそのバイイング力で本気で買い付けしたら太刀打ちなどできるものではないと言うのをまざまざと見せつけられているのだ。
しかも、あらゆる超有名メーカーがこぞって一番安値で卸しているのも某コンビニであった。
それをコンビニなのでと普通のコンビニ価格で差額を儲けているのに、オーナーからもさらにちゅーちゅーとするので、そりゃ儲かるだろう。
しかも、すぐ近くに同じコンビニを作って、オーナー同士戦わせて潰し合わせてフランチャイズ料をさらに稼ぐのだ。
どちらかが諦めて潰れても違約金が入るからまさにたまらないだろう。
某大手スーパーのワンマンオーナーが地名が違うから良く分からんで自分でサインして建てたくせに、店舗巡回した時にほぼ近くに自分のスーパーを続けて建ててしまってるのを見て「何でこんなとこに二つも建てとんじゃあ! 」と自分の責任をほったらかしで激怒して、店舗を作った担当者が配置換えでどこかに消えるのとはわけが違うのだ。
「ふふふふふ、現実逃避は済んだ」
そうコーヒーを飲み終わると、鏡の神代の連絡が使えない彼は、神代が作り上げた異界との唯一の連絡方法の特殊なメールで情報を送った。
遠くを見ると激しいミサイルの爆発などが連発していた。
彼は緊急時には全く役に立たない人物であった。
本人のパニックをコーヒーの蘊蓄で表現してみました。




