第二十一部 第四章
『まずい! 陸! 手伝え! 洗脳したイーグルベアを使ってミサイルを誘導させて、こちらに着弾させるつもりだ! イーグルベアの襲撃も手の内だ! 』
子供の陸がテレパスで叫ぶ。
「いや、俺、知らんしっ! 」
ライオンの顔を天音にボコボコにされて陸が天音に必死に叫ぶ。
「いや、マジで命の瀬戸際なんだがっ! 」
大悟もキレたままの天音に絶叫した。
「なるほど、ミサイルのMAPの設定ができないのか、まだしてないから、イーグルベアに掴ませて、こちらの大陸ドラゴンにミサイルをぶつけさせるつもりか」
慎也が呻く。
「カミカゼ特攻隊じゃないですか。ここまでやりますか? 」
健が少し怒ったように話す。
「道理で……弥生さん自体がおとりだったみたいですね。捕まえさせている間に別にいる洗脳したものにミサイルをこちらの世界に搬入させた。慌ててやらせたから、ミサイルの目標設定も出来てないみたいですね……」
智子がそう呟いた。
「え? 何で弥生さんの事を? 」
あまりの急展開で唖然としていた月兎が初めて反応する。
岩魚も驚いた。
「下がって、祝い言葉を使います」
そう健が話す。
「では、私は守りの祝い言葉を」
今度は智子が話す。
「かけまくも、かしこき……」
「かんながらたまちはえませ……」
それぞれが祝詞に似た言葉を叫び出す。
その瞬間、凄まじい見たことも無い雷撃が天空より降り注いでまるで雨のようにミサイルを片端から潰していく。
それと同時に巨大な鏡が大陸ドラゴンを守った。
『御鏡かっ! 影の神代と呼ばれて、そんなところにいたかっ! 』
四季が驚いた。
『えええええっ! そばに居たのに気が付かなかった! 』
そして、子供の陸も激しく驚いた。
「御鏡は隠形なれば……」
「影も形もなく鏡に映る自分のように神代のそばにいるのが御鏡です」
健と智子が笑った。
『よかろう! 随分と素晴らしい面子が揃ってきたようだな! 神無き今、誰が世界を支配するに相応しいか、今こそ決めようではないかっ! 』
四季の高揚したようなテレパスが響く。
「そういうところがちょっと推せないんですけどね」
「傲慢すぎでしょ」
智子と健がそう独り言のように呟いた。




