第二部 第三章
次の日起きたら、皆が気持ちよく寝れたみたいで身体の調子が良くなった。
精神的にもやはり皆疲れていたのだ。
陸にとっては、正直、こうなると追加で考えていたシェルター作りも考えるとこだ。
雨除けには木々の葉が集まった二つの木のせいで、雨が降りこむことは無いらしい。
「ううむ」
陸が悩む。
「どうしたんですか? 」
「ああ、シェルターの事ですね」
そう健と智子が話した。
「特にこのままで良いかもしれない。身体の調子も良いし」
「ひょっとすると、この寝方がこの身体に会っているのかもしれないですね」
陸の言葉に智子が同意した。
「え? 癒しの効果で無くて? 」
朝から、子猫たちに囲まれてねだられてあごの下を撫で続けている天音がそう驚いて聞いた。
「確かに、もふもふは良いですよね」
健もそう笑った。
寄生魔獣の身体に入っているせいか、意外と猫はイマイチで犬好きな陸ですら、凄く彼らの側にいると落ち着く事に気が付く。
恐らくは、寄生魔獣の猫達の近くに居ることが、この身体の本来の持ち主に安心を与えているのだと思うが。
仲間とまとまってってのは、どの世界でも同族の安心感があるものなのだろう。
「やっぱり、もふもふだよ。もふもふ」
天音は昨日までの機嫌の悪さは完全に無くなっていた。
猫カフェのような癒しの効果があるのだろうか。
「とりあえず、今日はどうしますか? 」
「うーん、干し肉の回収と配布を済ませたら、ビタミンとかの採取の為に木の実とかチェックしとこうか。先々的には服とか追加が欲しいよな」
「それより、お風呂が欲しいんだけど」
天音が突っ込んで来た。
「それは難しいのでは」
「でも、確かに欲しいよね」
健は否定的だが、智子は天音に同意した。
やはり女性は気にするのだろう。
陸もどうしたら良いか考え始めた。
木が多くあるので、ひょっとしたら桶みたいなものは作れないか。
もっと手っ取り早く言うと、人族から手に入れる方が早いかもしれないが……。
「粘土質の土はあったような気がする」
そう陸が呟いた。
「なるほど、土師器ですな」
「素焼きなら器は出来るかも」
健と智子がそれを聞いて頷いた。
粘土で壺とか器を作って焼けば、吸水性があるが素焼きのものなら作れるはず。
焚火の野焼きで出来るはずなのだ。
昨日見た限りでは燃える木は松に似て火力も強く、土器を焼くのに十分に見えた。
「後でやってみましょうか」
そう智子が提案した。




