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第二十部 第七章

「つまり、お前は我々と同じ獣魔族なのか? 」


 チョロ熊さんが陸に聞いてきた。


「え? 」


「は? 」


 皆が驚く。


「いやいや、そうではなくて……」


「我々も実は個人で進化してきた種族だ。獲得形質と言ってもいいかもしれない。まれに自らの体形を変化させるものが出るのだ。我らの羽根もそういう選ばれし者によって作られて受け継がれた形質だ」


 そうチョロ熊さんが誇らしそうにその巨大な羽根を広げた。


「ええええ? 」


「もともとあったわけではないんだ」


「というか、それはダーウィンの進化論みたいな感じですね」


「だけど、環境に適応したわけではないんだ。欲したんだ」


 健と慎也が唸る。


「確かにこの世界はおかしいよね。あれと共有した時にいろいろとものの考え方が違うと悩んだんだけど、力を適応させるんじゃなくて、欲して獲得させるんだ。この世界自体が願いに感応するらしくて……。キメラなんかはその全ての利点をくっつけたものみたいだし」


「となると、俺の身体の変化も不思議ではないのか? 」


 子供の陸の言葉で陸がそう呟いた。


「ずれてるがな」


「思いっきり、違う方向だと思いますね」


「戦うためになってないんじゃないかと思う」


  大悟と健と天音が酷い突っ込み方をした。


「いやいや、猫科で強いって言ったらライオンだろ? 」


「頭だけじゃん」


「いや、良く知らんからしょうがないじゃん」


 陸と天音が言い合う。


「まあ、話が進まないから、単刀直入に聞くがなんなのだ? 我々に大事な話があるのだそうだが……」


 チョロ熊さんがそう進まない話にあきれ果てたように突っ込んだ。


 あのチョロ熊さんに突っ込まれた。


 その事実で皆が固まる。


「いやいや、そちらに我々と同じ世界から来た人間がいると聞いていたので、その人に会いたいと思いまして……」


 陸がそうやっと話した。


「奴なら行方不明だ。あれほど獣魔神ライに恩顧を受けておりながら、姿を消した」


 チョロ熊さんがそう吐き捨てた。


「恩顧って気になってたんだけど、向こうの世界の文明の産物を獣魔族に回したって事だけど、獣魔神ライに保護してもらう以外に何かあるの? 」


 そう、子供の陸が単刀直入に聞いた。


「いや待て待て、そもそもこれは、なんだ? 」


 チョロ熊さんが空にふわふわと浮かんだ子供の陸に突っ込んだ。


「えええと、それは……」


 陸がそれで言いにくそうに黙った。


 





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