第二十部 第六章
「……その姿は……」
チョロ熊さんが凄い顔をしている。
「いや、これは戦うために……」
「戦うため? しかし、となるとその口で嚙みちぎるとか頸動脈を抉るという事か……」
そう、チョロ熊さんが驚く。
「食いちぎるってできる? 」
天音が横でさらりと小さい声で聴いた。
「いや、噛みつきだろ? 」
「嚙みちぎるのよ。猫ってああ見えてネズミを頭からバリバリ食べるし。胃酸が強いから寄生虫とか一部を除いて大丈夫だけど、菌とかは口に残ってるから、噛まれるとヤバかったりするけど」
「嚙みちぎるって、できるのか? 」
大悟も囁く。
「出来ないと戦えないことになるよね」
慎也も囁いた。
「いやいや、頭が大きくて身体のバランスも悪いし、どうなのか? 獣魔は相手の強さを大きさとバランスで見るからなぁ……」
チョロ熊さんの分析が厳しい。
「それはしょうがないよ。強いってイメージで獅子をイメージしたけど、人間型を譲れなかったみたいだし
。実戦経験無いし、帰宅部だもんね。そら、全体のバランスとか考えて無いし」
淡々と横で子供の陸が説明する。
「ああああああああ、一緒にやったお前が言うなよっ! 」
「だって、子供の感覚だから、そんな武術やってないからわかんないしね。そっちにイメージは任せたんだもの。でも、僕的にはライオンはありかなって思ったんだけれどな。噛みちぎるってのは考えなかった」
「まあ、テレビでやりませんからね。普通は頸動脈のあたりを嚙みちぎったり首の骨を折ったりするんですよ」
健が眼鏡を直しながらキラリとさせた。
「ね、猫パンチは? 」
動揺した陸が口走る。
「いやいや、相手を殺さない攻撃だし」
「あれに攻撃力があると思うんですか? 仲間に対する軽い攻撃には使うけど、それ以外はネズミを甚振る時に使うんですよ」
「ば、馬鹿な」
陸が動揺した。
「いやいや、冗談で言ってるんでしょ? 」
子供の陸が動揺したように聞いた。
「いや、動物なんて飼ったこと無いし」
「噓でしょ。まいったな……目立たないようになるように、消極的になるように性格をいじり過ぎたのか? 」
「いじってたのか? 」
「そういや、性格が変わってたよね」
子供の陸の言葉に大悟と天音がいまさらながら驚く。
「だって、目立ったらまずいし。本当は覚醒してんだから……」
子供の陸の言葉を陸が凄い顔で見てた。




