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第二十部 第二章

「ああ、屋敷が燃えて破壊されてる」


 そう茂に似た男ががっくりと肩を落とした。


 茂の弟の(しん)であった。


 茂と違い穏健な性格ではなく、神人として戦闘型であった。


「焼き払ったようですね」


 そう(なずな)が答える。


 (なずな)はキメラである。


 草花の名前を持つのは防衛型が多い。


「くそっ! 本家から来たし先代宗主の孫で宗主の娘ってんで、ずっと態度は悪かったんだが、ここまでやるとは……いくら何でも……」


「落ち着いてください。一応、火の方は神代家の消防車で消し止めました。警察とかとも話はついてます。山中の屋敷なので、そのあたりの隠ぺいは完璧です」


「確かに、そういう事件が起こるかもとして、山の方に屋敷は作るようにしている。でも、そんな事が起こったのって、それこそ戦国時代くらいなんだがな」


 晋が納得いかない感じでキレた。


 自分の育った愛着のある屋敷であった。


「……産まれた家から、新婚の邪魔だからってブチ切れてる本家からの嫁のために、兄の茂が土下座して俺は家を出たのに……。その挙句にこれか? 」


「まあまあ、お兄さんの新婚生活のために仕方ないじゃないですが」


「いやいや、世の中には限度がある。どこに行ったか分かるか? 」


「今、キメラの索敵できるものが調べてますが……」


「殺そう……」


「は? 」


「もう、宗主も所詮代行だし。陸なら理解してくれるだろ。凜が陸を殺そうと動き回ったらしいし。良いよな。茂兄が向こうにいるなら、こちらの御門家の指揮は俺がトップだ。神なんか知るか。陸が宗主で神になればいい」


「そ、それは思いっきり不穏ですよ? 」


「なんで? 宗主の戦いが起こった場合、勝った方が総取りだ。陸は二人いて圧倒しているらしいじゃないか、神に……」


「宗主を選ぶ戦いは不介入が約束では? 」


「だから、弥生を殺すだけだ。別に反逆してんだから良かろう」


「洗脳されているのですよ? 」


「本人の欲求を元にコントロールされているだけだろ? ならば無罪ではないだろ。そもそも調子に乗り過ぎだ。分家四家は神代家が逸脱した時に、それを止めて制裁する資格を持つ。その資格を行使させてもらう」


「いやいや、御門家の当主は茂様ですよ? 」


「嫁と娘だけ見てるようなら当主失格だろ? よこせ」


 晋が連絡用のパネルを(なずな)から取り上げた。


「いやいや、まずいですってば」


「近いな。御門家の神人を向かわせる。弥生を殺しても構わない」


 晋がブチ切れた顔で呟いた。

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