第二部 第二章
陸が親分に聞くと何かをミャウミャウと話して来た。
「どうだって? 」
天音が興味深そうに聞いた。
「いや、大陸ドラゴンの体表から出てるコーティングとともに大陸ドラゴンのパワーが寄生虫を近寄らせないんだと。先祖がここで生活を始める前にはいたのだけど、もはや昔の古い話だって」
「マジですか」
「あれ? ひょっとして、あの塩に物凄い殺虫能力があるという事ですか? 」
「かもしれない」
「……私達食べたけど、大丈夫なの? 」
天音が少し震えて聞いて来た。
「いや、大丈夫だろ。身体自体は同じ猫の寄生魔獣だし」
陸がそう笑った。
「ひょっとしたら、人間なら強烈な駆虫薬になったかもしれませんね。強力な下剤になるかもしれません」
健もそう論評した。
そう、実は大陸ドラゴンの体表のコーティングは、塩分としても良く魔獣にとっては非常に健康の為にも良いものであったが、実は普通の人間が食すると、お腹の寄生虫と腸内細菌を死滅させ。超強力な下剤としての効果があるのだった。
陸がのちにそれで戦う事になるとはその時はまだ気が付いて無かったが。
「とりあえず、じゃあ安心して寝るか」
そう陸がほっとしたように呟いた。
そうしたら、天音と智子のとこにすり寄るように子供の寄生魔獣の猫が近寄ってきてすりすりした。
一緒に寝ようという事かもしれない。
それで天音がこの世界に来て初めて優しく笑った。
それはあまりにも可愛い猫による可愛い仕草だったからだ。
智子も猫が好きらしくて微笑んだ。
天音などは昔は猫を飼っていたはずだから嫌いなはずもない。
どうも、地球にいた猫の近縁種なのか、顎の下を撫でられると喜んだ。
元々は自分の舌が届かない場所なので、撫でられると喜ぶとは聞いていたが、それは信頼するものにしか撫でさせない部分でもあるので、子猫たちがそうするのは陸達が身内として認められた証明なので、皆で顔を見合わせて微笑んだ。
ただ、暑かった。
驚くくらい暑かった。
そして、転生した身体はそれに慣れているのか、それが無理という事は無かったが……。
初日で疲れた事もあって全員で泥沼のように寝た。
天音は余程子猫が可愛かったのか、遅くまで子猫の顎の下をなでなでしていた。
「もう寝たら? 」
流石に夜にふと起きた陸がまだ天音が撫でているので、思わず突っ込んだほどだった。




