第十九部 第五章
「まずいな。日葵は戻した方が良くないか? このまま向こうで弥生に暴れられると厄介では? 」
宗明がそう話す。
「いや、こっちに来るんじゃないか? 近代兵器を持って。全部破壊したとは言え壊されて無いものとか、もしくは弥生の立場なら先回りして隠してるかもしれん」
暁がそう呟いた。
「いや、いくらなんでも」
「貴方にとっては娘だろうけど、俺にとっても妹だし。あれはそういう性格だぞ? 」
「うううむ」
「貴方が祖母の宗主の補佐として殆ど家を留守にする中で一緒にいたのは俺だし。悪いけど、そう言うのはちゃんと準備してる子だ。今回の件で一番心配になるのは家を焼いたことだ」
「それが、何かあるのか? 」
「もう、戻らない気だろ。だから焼いた。自分の気持ちも屋敷を焼き捨てることで神の為だけに戦う気だ。厄介だぞ。御三家の分家のトップの奥さんで現宗主……宗主代行か、それの娘だ。神代の秘匿しているのにも触れる」
「……それもあって、神代から出したのだがな。あまりにもあの子はのめり込み過ぎる」
「それは貴方が言う事ではないだろう。宗主になった時も仕事、祖母が宗主だった時には補佐してて仕事で家族なんか見て無かったのに、それで会話もせずに分家に嫁に出したと思ったら、そりゃ、暴走する」
暁が母親である宗主代行にきついことを話す。
「……すまない」
「いや、まあ、その間面倒見てたの、俺だしな。そういう意味では俺も弥生の性格が変わったのを陸の宗主候補絡みかと思ってたし、分家に嫁に行くのも茂が凄く良い奴だから、いずれ分かってくれて夫婦仲とか良くなるかと思ってたからな」
「で、どうするんです? 」
「どうしょうか? 兵士を呼び戻すか? 逆に子供の陸の洗脳が効いている兵士なら神に操られんだろう」
暁がそう呻く。
「しかし、子供の陸はイケイケだぞ? 」
宗主代行が心配そうだ。
「いや、陸の方が心配なんだがな」
「陸は治った」
「は? 」
「医者の手配は? 」
宗主代行の言葉で暁と宗明と日葵が驚いた。
「強引に治したよ。それで肉体を変化させて戦う魔獣に変わった」
「げぇぇぇぇぇぇぇ! そんな事できるんだ? 」
「凄いな! やはり神の力か? 」
宗主代行の話で暁と宗明が感動する。
「一体、どんな姿になったんです? 」
日葵が興味深そうに聞いた。
「怪傑ライ○ン丸」
宗主代行がぽつりと話すと皆が固まった。




