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第十九部 第一章

 10年前。


 縁側でいつものように暁が寝転がっている。


 そこへまだ高校生の四季が通りがかる。


 彼は神代の美男美女の因子と人たらしたるべきあらゆる魅力を持った優秀な男だった。


 しかも、もし、男の宗主が現れるのなら、彼しかいないとすら言われていた。


「どうした。浮かない顔をして……」


 寝転がっていた暁が身体を起こして聞いた。


「いえ、相変わらず。私の気持ちとかよく分かるんですね」


「いやいや、祖母が宗主で母が一番有力な宗主候補だぞ。それで俺は神人にはなれたとはいえ、大した実力があるわけでは無いし。正直、神人も祖母と母のおかげでなれたとか陰口叩かれてるからな。神代なんて名門とか言いつつ人間性は糞だから、陰湿だしなぁ。そんな中でもまれてきたら、俺のような無能でもいろんな人の表情からいろいろと読み取れるようになる。まあ、いわば弱者の経験から来るものだな」


 そう暁が四季の言葉に苦笑した。


「まあ、私も貴方と変わりませんよ。まさか、陸が宗主候補になるとは……」


「ああ、まあ、皆、そうだな。普通に神代の者は宗主になりたいもんな。特にお前は優秀だし。でも、陸は多分落ちるよ。というか今、その話でもめてるし……ほぼ落とすのは決めたらしい」


 暁が苦笑した。


「いや、多分、彼だと思いますよ。少し前に妙な気配……まるで覚醒したような気配を感じましたから」


「……やっぱりか……」


「やはり、貴方も感じておられたのですね」


「だが、消えたんだ。見事にな。それは本当に1日にも満たない時間だった。その間、陸はおかしかったな」


「ええ。ただ、私は……」


「陸が覚醒したかもしれない事に嫉妬したか? 」


 そう暁が苦笑した。


「それは……貴方に隠しても仕方ないですね。そうですね。神の使いになる事は神代の悲願であるとずっと教えられてきましたから……」

 

「まあ、俺も若いころは良く嫉妬とかあったよ。祖母は宗主で母も間違いなく宗主になりそうな流れで、俺は神人とは言えインチキに近い認められ方だしな。自分との祖母や母との格の差とか見せつけられてたし。なんで俺はとか思うけど、それはしょうがないよな。そういう器で無かったって事だ。ただ、だからこそ、分かることもある。陸を降ろすのは危険だな」


「危険とは? 」


「覚醒したかもしれないとは見て祖母と母が調べたけど、やはり異能は開いていない。ひょっとしたら開いたけど閉じただけかもしれない。というか、自分で閉じたのかも。たまたま、その時に会った時におかしいおかしいって陸が騒いでたから……」


「それは初耳ですね。何がおかしいと言うんですか? 」


「神の気配を感じるらしいんだが、禍々しいらしい」


 暁がさらりと答えると四季は少し驚いた顔をした。

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