第十七部 第七章
「そんな……話は……良いから、神代家の第一軍の撤退とか、どうせ用意している俺達の世界の近代兵器は持ってこれないようにしたの? 」
陸が皆の話がズレすぎているので苦しい中で慌てて一番大事な話をした。
「それは大丈夫です。暁が全部撤退させました。準備している武器も全部使えないようにしてます」
「そうか、流石……暁おじさんだ」
「ええええええ? なんで、そんな事しちゃうの? 」
「いや、お前、使うじゃん! 」
「当たり前だろ? 戦は火力だよ」
陸と子供の陸が言い合いをした。
「……全然、子供の宗主がおっしゃる通りに同化しているように見えないのだけど……」
宗主代行が呻く。
「いや、凜が先行して洗脳されていたんだ。他にもいるかもしれないだろ? 」
「ああ、いるよ。凜の母親が最初に洗脳されている」
「「「「何っ! 」」」」
陸と子供の陸の言い合いを聞いて、宗主代行をはじめ英明から月兎まで驚いて思わず叫んだ。
「だから、凜は本来の自己防衛能力があって洗脳をはじけるはずなのに、母親が教育として補佐したから、洗脳されてしまったんだよ」
「最初に言ってくれよ! 」
「言いたくなかったんだ」
子供の陸がちょっと辛そうな顔をした。
「……何でだよ。そういえば、共有部分でブラックボックスにしてる場所があったな……」
陸がそう苦しい息を吐きながら呟いた。
「ショックを受けるからか? 今の陸が……」
大悟がそう聞いた。
それで子供の陸が頷いた。
「だとしたら、四季か? 他に洗脳されているのは神代四季だな? 」
宗主代行が即座に察した。
陸が凄い顔をして驚く。
「四季って……陸が尊敬してたおじさん……だよね……」
天音も流石に驚いた。
あの陸が尊敬してやまない、最初の怪物みたいな四季さんが洗脳されていた。
それは陸だけでなく大悟も天音にもショックだった。
「ならば魔獣の加護を陸が受けるのを狙って、神はやらせていたという事か? 」
「……多分、そうだろうね」
子供の陸も少し辛そうに頷いた。
「どういう事? 四季さんはどこに? 」
「獣魔神ライの側近に入り込んでいる神代の人間が四季さんなんだ」
子供の陸がそう答えた。
「う、嘘だろ? ……そんな馬鹿な……」
陸がそれで衝撃を受けた。
「それで、いろいろと調味料とかよこしてくれたんだ」
「あんな風力発電のシステムもそうか……」
大悟と天音も動揺が止まらなかった。
陸がガックリと項垂れた。




