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第十七部 第五章

「残念ですが、一足違いで凜が攫われました。いや、神の宮代になったようです」


 何時までも格闘オタクの話が続くので手鏡で英明が宗主代行と交信を始めた。


「そうか」


 本来なら宗主代行は神の宮代に凜がなったと大喜びするはずが、老人だが頭の回転が速い宗主代行は、陸が強すぎて神が勝つのは難しいと見ていたせいか、あまり喜ばなかった。


 逆に宮代として負けた場合、心もその負けた影響でずたずたにされて廃人になる事が宗主だけに伝わる口伝の伝承にあったのだ。


 だから、酷く困った顔をしていた。


「いやいや、こっちを無視かよ! 」


 そのやりとりを見つけて月兎(ルナ)が突っ込んだ。


「いや、俺、格闘オタクじゃないし」


 英明が身も蓋も無い返しを行った。


「いやいや、実戦で言うと、すでに子供の陸殿は王手をかけていると説明しているわけですよ」


 そう健が眼鏡を指で押してキラリとさせた。


「まあ、逃げたしね」


「死にかけてるんだがな、陸は? 」


 天音の小馬鹿にしたような突っ込みに大悟が水を差す。


「宗主の陸と話したい」


 そう宗主代行が英明に話す。


「うん、何? 」

 

 横から聞いていたのか、子供の陸が鏡の宗主代行に向かって聞いた。


「いや、貴方の方ではなく、宗主の陸の方です」


「いやいや、僕も陸だし」


「現在の世界に近い方です」


「僕もそちらの世界に居たんだけど」


「……」


 そうやって宗主代行が困ったような顔で英明をちらちらと見た。


 英明も困ったような顔をした。


「子供の陸とこっちの陸と何か違うのですか? 」


 そう、大悟が間に入って聞いた。


「……」


 凄い悩んだ顔を宗主代行がした。


「何かあるの? 」


 天音も話に参加してきた。


「実は……宗主の代々伝わる口伝にあるのだ。実は分離して離れた人格は長い事その状態にあると、完全に別人格になってしまい互いに争う事になると……」


「共有したから大丈夫だよ。定期的に実は共有しているし……知識も会った事も共有しているから」


 そう宗主代行の困り切った顔に子供の陸が苦笑した。


「き、共有って……あまり俺と知識が変わらないんだが……情報も……」


 苦しい息を吐きながら途中まで這って近づいていた陸を禍津族の神人が運んだ。


「そりゃそうさ……」


「お、俺の身体や……そのまわりに……いなかったよな」


「内緒」


 そうクスクスと子供の陸が笑う。


「どこにいたんだよっ! 」


 そう痛いのを我慢しながら陸が叫んだ。


 だが、子供の陸は笑ったまんまだった。


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