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第十七部 第二章

 皆がそうやって騒いでる間に、英明が騎士鳥に乗ってふらふらになりながら、大陸ドラゴンの背中に降りたつ。


 そして、心配そうにあたりを見回した。


「あ、あの……凜は? 」


「もう、神の宮代にされて乗っ取られて行っちゃったよ」


 不貞腐れたように月兎(ルナ)が答えた。


「ええええ? 宗主は? 」


「そこで死にかけてる」


 そう月兎(ルナ)がぞんざいに陸を指さした。


「えええええええ? 」


「神が出ていったのに、まだ僕は宗主なんだ? 」


 ちょっと不思議そうに子供の陸が聞いた。


「うぁ! これが子供の宗主? 」


「いやだから、神の方が宗主じゃないの? 」


「いや、神代の口伝の伝統の通り、神と現宗主の戦いはどちらかが勝つまでは我々は基本的に不介入です」


「でも、それなら、僕が宗主ってのはおかしいでしょ」


「神が出る前に宗主が覚醒した段階で、陸様が宗主に決まりましたので」


「いや、でも、すでに死にぞこないで、勝ったのは神と見てもいいじゃないか」


「そんな事は無いよ。まだ僕たちの方が強いよ」


 そう子供の陸が月兎(ルナ)に断言した。


「いや、負けてんじゃん」


「半分の僕に勝ったからって、そんな事言われてもね」


 イラっとしたように子供の陸が反論した。


「へぇぇ、噂に聞いてたけど、子供の頃の陸は負けず嫌いだな」


 月兎(ルナ)が苦笑した。


「英明様がおっしゃる通り、神代家の宗主代行の判断が宗主はまだ陸様だとお決めになられているのですから、それを月兎(ルナ)様の言葉遣いがいけませんよ」


 ちょっと怒ったように岩魚が忠告する。


「へーへー」


 月兎(ルナ)がそう不平だらけに不貞腐れた。


「という事は、何か別でやってるのか? 」


 大悟がそう聞いた。


「流石だね。大悟は」


 子供の陸が感心した。


「何をしているの? 」


 天音が不思議そうに聞いた。


「あれは神代と禍津族のハーフだからね。裏を返したら禍津族の血の流れの方から制御できるんだ。それで前は勝てないのが分かって封印されて引っ込んだんだ」


「は? 禍津族のハーフ? 」


 英明が驚いたように聞いた。


「ああ、神代は良き血の流れを求める。それは凜のイギリスのケルトの血を求めたのでもわかるでしょ。あれは実は定期的にやってるんだよ。その最初が神代の一族が禍津族の血の流れを得ようとしたんだ。勿論、平和交渉込みでね。それが産まれた子があれで暴走してああなったってのが、真実の話だ」


 子供の陸が淡々と説明する。


「それって、自分でやっといて、迫害されたって故地を取り戻すって騒いでるわけ? 」


 天音が呆れたように突っ込んだ。


「その通りだよ」


 子供の陸が苦笑した。


 それで、英明が唖然として固まった。

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