第十六部 第十章
「何で、大悟に攻撃させないの? 」
「しょんなの! こいつに乗り移らせたいからだろ? 」
天音が不思議そうに大悟を見て陸に聞いたら、大悟の方が月兎を見て叫んだ。
ボコボコの顔で。
「そうなんだよな。出てこないんだよな。まあ、このまま大陸ドラゴンで突っ走れば出てくると思うが……」
大陸ドラゴンは燃えてはいるが、ガソリンのように爆発的に燃えるようなものでは無かったらしくて、旋回後にスピードを上げていくせいであまり火が燃え広がらない。
さらに、距離が開きだしたのか、カタパルトの攻撃は当たらなくなった。
「どこへ行くんですか? 」
岩魚が不安そうに聞いた。
「そりゃ、分かるじゃん」
陸がにっと笑った。
「性格悪いな。禍津大神のいる所に行くつもりでしょ」
そう天音が怒る。
「いやいや、子供の陸のいるとこにだよ。どちらにしろ、どちらかが何とかするだろ」
「他力本願ね」
「帰宅部だからね。自分を良く知ってるから」
「ふざけんなっ! 」
ボコボコになりながら大悟が叫ぶ。
「ちっ! そんな馬鹿なやり方で乗ってきたか! 」
陸が忌々し気に叫んだ。
陸が振り向いた、その目線の先に凜がいた。
「カタパルトで飛んできたのか? 」
「びっくり人間ショーだな」
健と慎也が苦笑した。
「いやいや、皆、本当に動じませんね」
岩魚がドン引きした。
「やっと、会えたわね」
「いや、俺は神代の屋敷では会った記憶は無いんだがな」
凜の憎々し気な顔に陸が呆れたような顔で答えた。
「お前を殺すっ! お前を殺す! 」
「いやいや、そこまで憎まれる覚えはないけど」
凜の叫びに陸が突っ込むけど、凜は無視して突撃してくる。
「食らえっ! 」
凜が凄まじい気迫とともに再度爆炎魔法で攻撃してきた。
それを陸が大悟で受けようとする。
「待て待て待て! 」
それを見て慌てて慎也がが<マジックシールド(魔法盾防御)>を出した。
だが、それは爆炎攻撃で脆くも破壊された。
「はははははは、その程度か? 」
凜が嘲り笑う。
「何だ、出てこないのか? 」
そう陸が舌打ちした。
陸の背後は全く動こうとしなかった。
陸は動くのを期待していた。
そして、その瞬間、大陸ドラゴンが飛行しながら上下に逆さまに反転した。
陸達は猫型の魔獣なので、爪を伸ばして落ちるのを耐えたし、大悟は操られて慎也を捕まえて落ちないように耐えた。
「貴様っ! 」
凜が絶叫するが、こちらに気を取られていたせいで見事に下に落ちていく。
「ま、待ってっ! 」
それと同時に月兎も落ちていって岩魚が手を羽根にして追いかけていった。
「無茶苦茶するね」
「いやいや、今のは危なかった」
慎也と天音と智子に支えられた茜が呻いた。
「いきなりやらないと落ちないし」
陸が悪びれず答えた。




