第十六部 第六章
「待て待て待て待て待て、何をしようとしている? 」
大悟が陸を止めた。
「いや、火力の凄さを見せようかと。そして、将棋のように相手の先に狙っている手を読もうかと」
陸がそう笑った。
「顔つきが子供の時の戦う時はやり過ぎる感じに戻ってんだけど……」
「いやいや、大人びた考え方をするとこもあったんだから、それが少し嫌で俺はお前と揉めてたんだし、その辺はその感じで冷静にだな……」
「いや、冷静だぞ? 」
天音と大悟の突っ込みに陸が微笑んだ。
「本当か? 何かヤバそうなんだが……」
「まあ、火力が正しいのは確かなんだがな」
そう戦闘屋である月兎も苦笑しながら頷いた。
「そもそも先の一手を読むと言うのがよく分からん」
「いや簡単だぞ」
陸が苦笑した。
「つまり……なぜ、ここで凜を呼ぶかだよね。確かに。一見、あの戦闘狂をここに呼ぶのは、戦闘で一気に子供の陸を倒すためか? でも、凜の方が子供の陸より強いって事は無いんだよね。さっきからの話から考えると……」
「なんで? 」
慎也の言葉に天音が不思議そうに聞いた。
「神人でこちらの神の加護を得ているけど、神人の上の神ランクほどは無いんでしょ? それならこの間の戦いで洗脳系の攻撃を使っているはずだし、攻撃力は高かったけど雑な攻撃しかしてなかったしね」
「確かにな。戦闘力で言うと月兎さんと変わらない程度か、それより魔法が使える分上かってとこだよね」
「いや、私も祝い言葉は使えるんだけどね。遠くから見てたけど、あの程度の攻撃なら出せるよ」
凜に敵対心があるのか、ムッとしたように月兎が答えた。
「……まさか? えええ? 」
「多分、そうだと思う」
「え? 」
「ああ、すまない。考え方が流れ込んでくるから。共有の力に目覚めると」
そう慎也の驚きに陸が淡々と答える。
「どういう事? 」
大悟が不思議そうに聞いた。
月兎も訝し気に目を細めた。
「神が封印を出た後に乗り移る為の身体が欲しいんだと思う」
「は? 」
「え? 」
慎也がそう答えると皆の顔が歪む。
「待て待て待て! それはおかしい! それなら私がここにいるだろ? それはおかしい! 」
月兎がそっちじゃない話で激高した。
「いやいや、ちょっと話が違いませんか? 」
岩魚が途方に暮れた。




