第十六部 第四章
「何が起こってるの? 」
茜が不安そうに聞いた。
陸の顔が凄い顔になってきたからだ。
「……そうか……共有とか……こうやって使うのか……子供の陸が俺にいろいろと教えるために繋いでくれたおかげで分かってきた……」
陸がそう呟き続ける。
何かを納得していってる段階のようだ。
「共有なら、知識と記憶を共有した段階で相当な理解が進むだろうな」
大悟がそう呟いた。
「ああ、何となくいろいろと分かってきた。そう言う事か。なるほど、俺も無意識で使ってたみたいだ。問題は……背中の奴だな」
陸が背中に異様な敵意を持った目で睨む。
「待て待て、頼みがある。一時はお前から俺は距離を置いてたし、仲が悪かったし、そもそもはうちは神代家とは敵対関係ほどはいかないが味方って感じでもない……。だからはっきり言うけど、お前は冷静でいてくれ。でないと、子供の陸がぶっ飛んでるから、ちょっと収拾がつかなくなる。確かに思い出してみれば。お前ってそういうタイプだったよなって、今頃思い出す俺もなんだけど……」
陸の正面に回って大悟がじっと陸の目を見て話す。
「そんな状態で忠告とか良くするよな。お前、ポジション的には陸の敵じゃん」
月兎が突っ込んできた。
「いやいや、待ってください。宗主なんですよ? 陸様は? 」
岩魚が必死に月兎を諫める。
「ああ、分かるわ。私も同じことを言いたいんだけど。そう言えば子供の時って陸ってイケイケドンドンだったよね。で、正直、長い付き合いだから分かるけど、相当うっぷん溜まってるよね、いろいろなものに。それを晴らすのは仕方ないけど、やり過ぎないようにしないと……」
「無理かな……無理なような気もしてきた」
天音の言葉に大悟が凄い悩んだ顔で呟く。
「いやいや、物凄く深刻なんですけど、言ってる話が……」
「それは聞いていて思いますね」
慎也と健がそう突っ込んだ。
だが、それと同時に大陸ドラゴンの飛行してる軌道が変わり始める。
「え? また何かスキル使った? 」
天音が驚いた。
「いや、今操っている」
陸が淡々と話す。
「操っているってスキル使役でなくて? 」
「違う。共有だ。大陸ドラゴンの見ているものが見える……そうか……これが共有か……」
そう陸が嬉しそうな顔になった。
「……大丈夫……か? 」
月兎の顔が歪んできた。
大悟と天音が左右に首を振った。
皆が凄く凄く嫌な予感がしていた。




