第十六部 第三章
「どうしょう? 」
宗明が暁に聞いた。
「こちらも日葵が隠し持ってた無人自爆ドローンを兵士達が勝手に組み立てて、使用しようとしている」
暁が吐き捨てた。
「ではキングオーガが凜を迎えに来たと言う話と考えると、それの撃退か? 」
宗主代行の神代ユウが呻いた。
「可能性が高い。というか、兵士は巻き込まないでくれって言ったのに……。あいつ、子供の時は戦う時は徹底的にやる奴だったから、手段を選ばないからな。ここぞとなると」
「そういう子だったな。候補から降りて下っ端になって元気が無くなってから、やはり、あの子も大人しくなるかと思っていたのだが、まさかコントロールされて大人しくされていたとは……」
「だから、候補のままで保留にしろって言ったじゃん。俺は、大人の方の陸も怖いぞ? 」
「だろうな……」
「神人になった経験があればわかるが、能力なんて全部持っていけるわけがない。あちらの陸も恐らく相当やるぞ? 」
「そうだろうな……」
「いやいや、諦めてないで、何とかしないと……」
「どうやって? 」
「いやいや、3000年の神代家の悲願ってやったんじゃないのか? 」
「そう騒いでた奴らは絶句してしまってな。それで無言だ」
「会議したんだ……そりゃそうだろ。そうやって信仰とか盾に騒ぐ奴って予想外の事が起きたら、しれっと知らないふりするじゃん。そんなもんだろうに」
暁が吐き捨てた。
「まあ、あんだけ悲願だとか騒いでて、第一軍に誰も志願しない時点で見えてるよな」
「安全な場所にいる時は強気なんだよな。負けだしたら黙る様な奴らと同じだわ」
茂と宗明がため息をついた。
「では、こうしましょう」
「駄目です」
日葵の言葉を暁が遮った。
「いや、まだ何も言ってませんが……」
「アメリカとかで準備してる近代兵器を投入するって言うんだろ? それは駄目だ。神代のは洗脳じゃなくて共有だって言ったじゃん。集合無意識に接触出来たら、好きにできるんだ。異界にいるから遮られているらしいが……。そうだ! 子供の陸が異様なことを言ってた。禍津大神がこの空間に兵器を持ち込めないようにしてるって奴、陸はそれを外せるらしいぞ。あの話しぶりだと、神の方は出来ないのかもしれん。そうなると、子供の陸が……。アメリカとかで準備している兵器を全部動かせないように至急にやってくれ! 」
暁が宗主代行の神代ユウに頼む。
「子供の陸が取ってこさせると言うのか? 」
「可能性がある。あいつはあれで、神代の戦闘型の神人みたいなイケイケドンドンの性格してるから」
暁の言葉で全員が真っ暗な顔をした。




