第十五部 第四章
「で、どうするの? 」
天音が陸に聞いた。
「いや、それを俺に聞くか? 俺は逃げれ無いじゃん。俺の背後にいるんだろ? 神代の神様の<滅び>が」
そう陸がちょっとムッとして言い返した。
「まあ、日本に戻れば日本が本格的に戦争になるよな」
大悟がそうため息をついた。
「人の心を操れるからな。さっき子供の時の俺と共有した話だと、集合無意識を通して共有するから、一気に一族郎党だって洗脳できるみたい。神も同じレベルって事だ。しかも、今回は俺が魔獣と同化したせいで、魔獣の集合無意識までいじれるようになったらしい。どう考えても、地獄しか起こんないわ」
陸がしょんぼり呟いた。
「とりあえず、世界が違えばそちらまでは行かないの? 」
「集合無意識に触れれるってのが大事で、世界の次元が違うから交わらないから。ただ問題は日本人に産まれてるだけあって日本人は操れそう。それと凜を使えば、イギリスとかはいじれるかも。同じ宗教圏だから、キリスト教関係の集合無意識もいじれるかも……」
「ええ? それでわざと白人の優れた異能の血とかって混ぜてたのか? 」
慎也が衝撃を受ける。
「ああ、可能性があるな。全部そういう風にできるように神がお膳立てしてたかも。確か、インド人もいるんだよな」
「いましたね。アフリカ人のお嫁さんももうじき来る予定だったような……」
岩魚が陸の言葉に同意した。
「なんなんだ、その流れは? 」
「いやいや、血の問題で言うとイギリスのアイルランド系とインドとアフリカの精霊信仰とか関係してくるもの。イスラム系もインディアン系も入れる話自体はある」
「それやれば確かに全世界とまでは行かなくてもかなり動かせそうだね。集合意識を通してさ」
「そうなんだよな。全部考えてたのか知らんけど。ヤバすぎるだろ。アメリカの悪魔信仰まで取り入れようとしてたとこがあったらしいから」
「神の定義とか良く分からんな」
大悟がため息をつく。
「イギリスでもケルト系の異能を探して見つけたらしいですが、イギリスのアレイスタークロウリーの血縁まで枠に居れてましたからね。そもそも、悪魔ってのはそもそも異教徒の信仰する神だったようですし」
岩魚が答えた。
「「アレイスター・クロウリー」」
健と慎也が同時に呟いて目を輝かせた。
「こ、こんな近くにオカルトの究極の話があるなんて」
「信じられませんね」
健と慎也の感動が止まらない。




