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第十五部 第三章

「とにかく、一度撤退すべきでは? 」


 そう暁が再考を求めた。


「……少し皆で相談しよう」


 そう宗主代行の神代ユウが答える。


「いや、相談など無用でしょう。急いだほうがいい。陸は武器を探して禍津大神の元へ向かっているのですから。下手に武器でも貰ってきたら、ここで大戦争になります」


 暁がさらに再考を求めた。


「だが、神代家の3000年の悲願なのだ。それをやっと行動に移したと言うのに、それを撤退は……」


「揉めるのは分かっていますが、まずは様子見で良いではないですか。ここで、一度引くべきです」


 暁がそう断言した。


「暁が言うなら、躊躇しない方がいいかと」


「暁の予見は当たるから軽く見ない方がいいです。すでに兵士は子供の陸に洗脳されているし、神と戦うために兵士として呼ぶ可能性が高いかと思います」


 普段はどうしょうも無い感じだが、分家のトップなだけあって、茂も宗明も強く暁の意見を推した。


「なるべく急ぐ。もう少し待て」


 そう宗主代行の神代ユウが言うと鏡から消えた。


「あああああ、逃げたっ! 」


「逃げたは無いでしょう? 一族の急進派は特に今回のは乗り気だったのですから、いきなり撤退して様子見とか言っても……」


「こんなんもの即断即決即実行だろう! 絶対にヤバい! アメリカの厄介なのと次元が違う! 指揮官命令で撤退させる! 兵士だけでも逃がす! 」


 暁がそう断言した。


「それがいいと思う。現場指揮官にはある程度判断が任されている。意味もなく全滅するくらいなら撤退した方がいい」


「そもそも、神代の名を持つ陸が覚醒した以上、神代家の本家のトップも系統も今後は陸中心だしな。暁も失うものはもう何も無いし」


「嫌味な奴だなぁ」


 宗明の冷やかな現状分析の言葉を聞いて暁がドン引きした。


「本当に撤退させるつもりですか? 」


「ああ、責任は私がとる。全ての兵士は全員撤退しろ。この世界から一旦引く。即時準備を開始して、速やかに元の世界に戻れ。我々だけがここの世界に残って監視を続ける」


「えええ? 」


「マジですか? 」


「マジだよっ! 分家のトップなんだから腹を括れよ! 」


 ドン引きする茂と宗明に暁が突っ込んだ。


「わかりました。では全軍撤退を! 」


 日葵が大声をあげた。


 だが、兵士達は無視してそのまま設営と武器の準備を続けている。


「何をしているっ! 何故、撤退しないっ! 」


 日葵が怒鳴った。


 だが、誰も動かない。


「こ、これは……」


「すでに子供の陸の兵士なんだ……あいつ、やる気満々やんけぇぇぇぇ! 」


 暁が絶叫した。

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