第十五部 第一章
「禍津大神に会いに行ったと言うのか」
暁の前にある巨大な鏡に神代ユウが映っていた。
神代家の神人だけが持つ鏡を使った通信だ。
「間違いないと思う」
「では、宗主の陸は……子供の陸は殺されてしまうのでは? 」
「無いと思う。あれは俺が予見していた以上に強いよ。信じがたい強さだ。子供の陸は強い能力の大半を持って行ったっぽい」
「しかし、今の陸も覚醒しているままなのだが……」
「多分、それだけの怪物だったと言う事だと思う。正直、分離して戦わなくても逆に神は陸に勝てなかったんじゃないかと思う。何かあって距離を置いてると思うんだけど……」
「神代の力は洗脳と言うより、実は共有だからな……。洗脳も共有からしている部分がある。だから、神との共有が良くないと見たのかもしれない」
「え? 」
「マジですか? 」
茂と宗明が初めて聞く話に驚いた。
「となると、神は今の姿の方の陸を食べないな……」
鏡に映った宗主代行に降りた神代ユウが呟いた。
「でしょうね」
暁も同意した。
「なぜです? 」
日葵が横で叫ぶ。
「罠かもしれないだろ? わざと目の前に餌のように自分を置いているんだ」
暁がそう呟く。
「げ? 」
「あ? 」
「それほどの怪物だとすると、それは非常に考えられるな。実際にそう思わせるのが目的だとしても、本当に罠を仕掛けていてもおかしくない」
宗主代行に降りた神代ユウが呻く。
失敗作と見られていた陸が、暁が予見で非常に恐れていた理由がやっとわかったような顔をした。
「作戦を一旦終了させて、撤退させましょう」
暁がはっきりと話す。
「3000年に渡る一族の悲願を諦めると言うのか? 」
「全部が子供の陸の罠の可能性がある。すでに今は戻ってますが、兵士は全部陸のコントロール下にあります。それとあの子は戦闘を始めたら徹底的にやる性格だった。長い事、覇気の無い今の陸を見ていて忘れているかもしれませんが、あれは何度でも何度でも戦い続ける性格だった。それを俺も失念していた。いや、忘れさせられてたのかも」
暁がきっぱりと話す。
「そうか……それがそれほどの怪物だったとすれば……」
宗主代行の神代ユウが呻く。
「このままだと、二人の戦いに一族全部が巻き込まれますよ」
「それは覚悟の上だ。神代家はそちらの世界にいた時から、一番強いものが全てを奪い支配するのだ。だから、これは本来のコースと言える。3000年かかってやっと、今の神と戦える存在が現れただけだ」
宗主代行の神代ユウが断言した。
「いやいや、待ってください。それだと陸が神になるという事ですか? 」
日葵があまりの事に驚いて思わず叫んだ。
神代の神は変わらずと思っていたのだ。




