第十四部 第五章
「なんだかね。凄く禍々しいんだって、強引に封印されていたけど、中身から漏れてくる気配が……。人間とかそういうものを虫けらみたいに見てるそんな感覚だって。同族ですら道具以下なんだと。自分が何もかも支配しないと我慢できない性格と言うか……」
「口伝にあった話に近いな。人を人と思わずってあったから」
陸の言葉に大悟が苦笑した。
「いやいや、そんな馬鹿な」
「しかも、結構狡猾でわざと封印されて異界に移動した可能性もあるってさ。自分と同じレベルの麒麟児がこの神代の血筋で現れるはずだと考えて。禍津大神に前回の時は戦って勝てそうにないから、殺されるまでは行かないけど能力を奪われたりしたらまずいから最悪を回避するためにわざと封印されたらしい。そして、次に戦う時に勝つために自分の力を倍加させる魂のものを力ごと食らって奪うために、神代家の集合無意識に封印される形で逃げ込んで、次なる自分に匹敵する怪物が産まれるのを待っていたと。それで、自分が産まれたので食らうために魂の背後に移動したんだと」
「何、それ? 」
茜が陸の事なんで怒る。
「つまり、自分を神が襲うタイミングを待って、その時の為に待ち伏せしてたって事か。どうも神もは封印を自分の防護に使っているみたいだし」
「そうらしい。大悟が言う通り、あの封印の結界ってすごく頑丈なんだと。だから、出てこないと倒せないから待ってたらしい。どこで待ってたか知らない。そこはプロックされたから、読めなかった」
「それで、神が封印から出る前に攻撃しちゃったって感じなのですか? 」
「うん。そんな感じみたいだね」
岩魚の突っ込みに陸が苦笑した。
「ど、どんな戦いだよ」
「未来が読めるらしくて、ある程度はこうなるのが分かってたとか。神代が自らの財産と故地の復活でこの世界と関係を深めて、こちらに戻ってくるのと、それに俺が巻き込まれるのも知ってたみたい。正確に言うと自分の奪える魂を持つ人間の背後に回ったら、元の世界に戻るように、神とか自称しているのが、ある程度コントロールしてたらしい」
「ええええ? 神代家が金鉱とかの開発でこちらの世界にチョッカイ出すのも知ってたって事か? 」
「こちらの地下資源が凄いってのを知ってたみたい。だから、それで神代家がそれの確保に徐々に動くのを読んでいたというか……」
「どこまで、わかってるんだ? 」
「わかんない。予見の能力は全部、僕が持って行ったからって頭に流れ込んできた」
「なんなんだ、それ? 」
「使える能力は全部持ってったみたい。困ったもんだね」
「それじゃあ、お前、出し殻じゃん」
「ちょっとぉぉぉ! いろいろあったけど、まだ宗主なんですからっ! 」
言いすぎる月兎の言葉に岩魚が慌てて止めたが、陸は少し傷ついた顔をしていた。
「そうなんだよね。神代の失敗作とか一族には影で実は言われてたからね」
陸が寂しそうに呟いた。




