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第十四部 第二章

『餌になる方側にも心はあるんだ。だから、ただ食べられるだけに産まれてきたとか冗談じゃないね。僕にだって生きる権利はあるでしょ。しかも、あんな力に溺れたような奴と同化なんて……。自分の力を持て余してコントロール出来てない糞野郎じゃないか』


 陸が震えるような怒りを見せた。


「し、しかし、一応、我々の神なんだぞ? 」


『だから自称だよ。そうやって一族のものを洗脳していただけさ』


「馬鹿なっ! 」


 日葵が信仰が深いせいで、ムッとして叫ぶ。


 その瞬間、自分のホルスターからH&K SFP9の拳銃を抜いた。


 流れるような動作だった。


 自衛隊の正式の拳銃になったそのドイツ製の拳銃を日葵は気に入って手に入れて使っていた。


 日葵の顔から脂汗が出る。


 日葵はその拳銃を自分のこめかみにつけて、トリガーに指をかけていた。


 すぐ撃てるように。


「ま、待て待て! 」


 暁が必死に間に入る。


『嫌だなぁ。撃ちはしないよ。簡単に操れるんだよって見せただけさ』


 子供の陸が笑った。


 可愛らしく笑うだけに、ぞっとする。


「こ、これは……身体を操っただけで……」


『では、僕に従え』


 抵抗する日葵に子供の陸が宣言すると、そこにいた二百名ほどの第一軍の兵士達が震えるように全員が固まった。


 そして、ピシッとすると一斉に陸に最敬礼した。


「なっ……」


『ねっ。彼らは僕の為に喜んで死ぬよ。そういう風に感覚を共有させて頭の中を作り替えたから……』


 暁達の瞳孔が見開いた。


 恐怖のあまりだ。


 これではどれだけ優秀な兵士を集めて訓練しても、即座に子供の陸の兵士になってしまう。


 想像の桁が違った。


『大丈夫だよ。全部、終わったら戻すから。心配しなくてもいいよ。相変わらず、暁おじさんは優しいね』


 そう子供の陸が微笑んだ。


 さっきまでの冷やかさとは少し違う感じの微笑みだった。


「そうしてくれ。半分は神代の縁者だ。分家の分家も結構いるんだ」


 暁がそうお願いした。


『でもね。あいつも同じ力を持つんだよ。僕は約束するけど、あいつはわからないよ。月兎(ルナ)お姉ちゃんを自分を守るための犠牲にしたしね』


「え? 」


「マジか? 」


『まあ、戦いになったらこんなもんだよね。僕も大悟のお爺ちゃんと大悟を巻き込まない約束したのに、攻撃するのについ使っちゃったから』


「えええええええ? あれはやっぱり大悟君か? 子供の時しか見たこと無いからさ? ひょっとしてとは思ったんだが……」


 暁が突っ込んだら陸が苦笑した。


『まあ、だから、コントロール除けとかしてるものがいても意味ないね。禍津族の人もそれで刺青入れてるけど、コントロール除けとかできなかったし』


「ええ? 禍津族ともやりあっちゃったのか……」


 子供の陸がそう呟くと暁が真っ青になった。


 

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