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第一部 第四章

 天音は捻くれて膝を抱いて体育すわりで俯いていた。


「仕方無いな。じゃあ、塩を付けずに焼いたものを食べたら良い。ただ、塩分が足りなくなるぞ。食べないと生きていけないのは確かなんだから……」


 そう陸が肉を焼きながら懇々と説得する。


「そうですよ。この焼いた塩無しの塩分では厳しいと思います」


 そう健が同じように天音を説得した。


「私も食べれるんだから、貴方にも食べれるはず。今は非常時なんですから」


 智子も必死になって話す。


「いや、普通は無理じゃね? 」


「医者になるって夢があるんだろ」


「医者になる夢があるものが、非衛生なドラゴンの体表のから滲み出た液体から出来た塩を食べると……」


「いや、猫の話だと、良く分かんないがドラゴン自体の体表を守るコーティングみたいな役目があるらしいんだけどな」


「余計、ヤバいじゃん」


「でも、我々もあの猫と同じ寄生魔獣な訳ですよ。混ざってますが……」


「彼らが食べるものだから、塩も肉も大丈夫だと思いますよ。というか思うしか無いですよね」


 そう健の説得と違い、しょうがないじゃ無いか感を見せた感じで智子が苦笑した。


「……分かったわよ。紛争地域に行った国境無き医師団になったつもりで食べるわよ」


 天音が不貞腐れた顔で、陸達を見た。


 陸がそれで微笑んで肉を渡した。


 だが陸は心の中では国境なき医師団なら食べないだろうなと思ったが口に出さなかった。


 そうして、猫さん達が持って来た山となった肉を刃のようになった爪で裂いて細くしていた。


 健と智子も同じだ。


 こうやって、乾燥しやすくして木でいぶして乾燥させて干し肉を作るのだ。


 これを分けるから猫さん達も必死に肉を持って来ていたのだ。


「問題は生食で無いのでビタミンとかの問題がありますよね」


 健が肉を爪でナイフのように裂きながら懸念して呟いた。


「そうね。生肉で無いとビタミンとミネラルが足りない」


 智子も頷いた。


「えええ? 生肉? 」


 天音がまた呻く。


「リスクがあるから、確かに生肉は悩むよな。何らかの形で、そういうビタミンが採れそうなものを探さないと。ただ、実の生っている木があるから、それを食べて見て大丈夫かいろいろと対策してみよう」


 そう陸がその辺りを見ながら真剣に答えた。


 ビタミン不足は大問題だからだ。


 健と智子が陸の目線を追うと木の中に確かに実がなっているものもあった。


「それにしても、ドラゴンの背中なのに何でもありだな」


 そう、陸が苦笑した。


 エスキモーとかが生肉で食べるのはビタミンなどの摂取の為だ。


 この場合、リスクはあるが、最悪は生で食べないとまずいのかもしれないと天音が騒ぐので陸は黙って考えていた。


 陸は人は余計な事は言わなくて良いのだと思っていた、鯖の缶詰とかから死んだアニサキスを大量に出して見せる動画とかとんでもないと思っていた。


 いるもんはしゃーないじゃん。


 余談であるが、国産の缶詰は鯖の冷凍技術とかが優秀なので鯖缶のアニサキスは少なかったりする。

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