第十三部 第三章
「な、なんで神と戦うんですかっ? おかしいじゃないですかっ? 我らが神ですよ? 」
座ってアサルトライフルを分解していく暁に日葵が叫ぶ。
「いや、あの時、何かいるって言った後、禍々しいものだって言ってんだ。おかしいおかしいって……」
「え? それは初耳だぞ」
「俺も初めて聞いた」
「言わなかったもの……。我らが神に喧嘩売ってるし、それ以上に陸の覚醒段階のレベルが分かったから、怖くて言えない」
茂と宗明が驚いてたので苦笑して暁が突っ込んだ。
「怖くてって……」
「おいおい、物騒だな」
「怖いって我ら神人が覚醒したとは言え陸にですよ? どこが怖いんですか? 」
「いや、多分、全部支配されちまうぞ。俺達」
「ええええええ? 」
「だって、神と同レベルだもの」
暁がそう呟いた。
「宗主代行はご存じなのですか? 」
「知ってる。だから戦場をこちらにした意味もある。警戒はしてるんだ。まさか、こんな感じで再度覚醒するとはな。だけど、あのヤバイ気配は感応を飛ばしてみたけど感じない。だから、何が起こってるのかさっぱり分かんない。だから怖いんだよ」
「いや、なら、今回の話を断ったのに」
「本当だよ」
「いやいや、貴方たち、分家のトップでしょうが! 」
「いや、だって、暁がやばいって言うと本当にやばいから。ほら、アメリカの厄介なのと揉めたとき、真っ先に気が付いて対策打ってた人だし」
「未来予知というか予感は当たるからな」
「じゃあ、じゃあ。月兎が護衛で行ってますから教えないと……」
「止めとけ止めとけ。逆に双方の戦争を大きくしそうだし。本当は完全覚醒したら相手の心が読めるから、俺はこっちに来たくなかったのにな。俺が引き金で一族殺し合いとか笑えんだろ」
「うわぁ、凜がチョッカイ出してるらしいから、辞めさせないと」
「敵意丸出しだったからな」
「それは宗主代行の方から連絡が行くだろ。でも、多分、陸の話は言わないと思うが……」
「いや、マジでうちの娘がやばいんですけど」
「いや、もう手遅れだと思うぞ」
暁が悲しそうな顔をした。
「悲しそうな顔をしないでくれよ。ちょっと、嫁と相談するわ。まずいな。早く言ってくれよ」
慌てて、連絡できる場所に茂が移動した。
「だって、暁おじさんは余計なこと言わないよねって笑われたんだもの。しかも、昔のあいつって怖かったろ、結構」
「ああ」
「いや、初耳です。彼が候補の時は防衛大学にいたし、候補を降りて陸が下っ端になってからしか知らなかったし」
日葵が驚いた。
「だから困ってんだよ」
そう暁がぽつりと呟いた。




