第十三部 第二章
3Dプリンターで作ったアサルトライフルの試射をする暁達。
カシャカシャって感じで鋭い金属音とちょっと違う。
「何か、アメリカとかで撃ったのと違って軽い感じがするね」
「そら、3Dプリンターで作ったからね」
「なんか、おもちゃみたいだな」
そうブチブチと言いながら試射を続ける。
「しかし、これなら神人の力の方が攻撃力が遥かに高いよな」
「いや、連れてきた部下に使わせるんでしょうが」
暁の言葉に日葵が怒ったように突っ込んだ。
「まあ、そうだけど。剣とボウガンと魔法の世界にアサルトライフルって、ちょっと趣がね」
宗明がちょっと残念そうに呟いた。
「趣なんてどうでもいいんですよ。本当は戦車とか戦闘機とかミサイルを持ち込みたかったんですがね。まあ、陸が覚醒したのなら、神が動けばできるはずです。すでに、その準備はアメリカの方でしてますから」
日葵が戦争できるのが嬉しそうだ。
「陸なぁ。そういや、一度覚醒したんじゃないかって話はどうなったの? 」
「自分で閉じたのかな? あの時、何か自分の中にいるとか騒いでたんだよなぁ。それから元に戻ったけど……」
「は? 」
暁と茂が話し合ってるのを日葵が凄い顔で聞いている。
「うちの娘もさ。嫁の母の影響で宗主になるとか言ってたけどさ。無理だろな。あんなのと同世代じゃ」
「ちょっと、化け物過ぎてなぁ。俺の感覚だとさ。覚醒したように見えたけど、元に戻ったから、何かやったんだろうけど、その辺りが怖いよな」
「え? 」
「どのくらい強いと思うの? 」
「神のレベルはしらんけど。あれだと十二分に神レベルがあると思う。ただ、もし、あれが本当の覚醒なら何かしてるよな、陸は。実際、あの時の陸とは性格が変わってしまった。別人になったようにも見えたし」
「でも、詳しくはわからないんだろ? 」
「そりゃ、俺はたかが神人だから、神と違うし。そもそも、感覚的なものだから、ちょっとわかんないな。上位者に対して、それほどわかるわけでもないし」
暁が弾を試射で打ち切って、アサルトライフルの分解を始めた。
「ど、どういう事? 」
「ああ、陸は子供の時に一度覚醒したんじゃないかって話」
「はああ? いや、そんなの神代ユウ様が気が付くでしょ」
「母さんもおかしいって言ってたんだよ。だから、多分、覚醒して何かしたんだよな。それが分からん。だから、ここで故地の侵略は怖いよね。ひょっとしたら、あいつは戦うために、こっちに来たかもしれんし」
「誰とですか! 」
「自分の中にいるものとだよ。俺達が神と崇める御方と戦うためかもしれないって考えたら、ぞっとするだろ」
暁がそう苦笑した。




