第十二部 第八章
「あの……大人になったら、キラキラネームは本人の意志で普通の名前に変更できますよ! 」
智子がもじもじと教える。
「うちの一族の問題で無理なんだよぉぉぉ! 」
月兎が逆ギレした。
「やっぱり、改名できなかった事が心の傷になってるんだ……」
陸がぽつりと言う。
「やかましいわぁぁぁ! 」
そばにある高さが四メートルくらいある木を引き抜いて、陸に投げつけた。
「ちょちょっと、本当に宗主様なんですってばぁぁ! 」
白い着物の服を着た女性が叫ぶ。
「暁おじさんが、あいつは必死になって名前を変えようとしたけど、長老たちに阻まれて、宗主の神代ユウ様にもそのままでって言われて無茶苦茶落ち込んでるんだから、変なこと言うなよって言ってた」
「いや、それを本人に言うのは……」
「駄目だろ」
「あの人、凄い顔してるぞ? 」
「あ、そっか。言うなよって言われたのに言っちゃった」
陸がてへぺろした。
月兎が顔が鬼のようになっていた。
「そういうところは全然変わってないな」
「私が嫌いなのはお前のそういうところだっ! 」
大悟と月兎が同じ事を吐き捨てる。
「いやいや、やめましょうよ。神を宿す方ですよ? 」
そう着物の女性が騒ぐ。
「あの着物の女性のお名前は? 」
天音が陸に聞いた。
「岩魚と申します」
そう着物の女性が答えた。
「岩魚って魚の? 」
「古代だと魚とか動物とかの名前使うから、そのまま使ってるだけ」
そう陸が答える。
「え? 」
「キメラみたいなものだよ。服も着物着てるのは作りやすいから。最近のゴタゴタしたのは変形が難しいんで、昔から使ってる着物のままいる人が多いの」
「おい! 部外者に喋るのはっ! 」
月兎が叫ぶ。
だが、その話を聞いてしまった、健と慎也の目がキラキラが止まらなくなる。
「凄い! 本当に超古代文明がここに! 」
「ふふふふふ、日本には昔からカタカムナとかアラハバキとか超古代文明が噂されてますからね。まさか、現物をこんなところで見るとか」
「なんなの、この二人」
「ふふふふ、ムーの愛読者ですよ」
「なんか、本当に変なのばかりだな」
「ふふふふ、貴方も、名前を考えれば仲間じゃないですか」
「お前っ! 外には言わんくせに、身内となると本当に糞みたいな事を発言するんだな! 」
「ああ、そういえば」
月兎の感想に大悟が思い出したように呟いた。
「いったん、身内となると無茶苦茶酷い突っ込みが来るからね」
天音も苦笑した。
「確かに、仲良くなると結構毒舌だよね」
そう智子と健も頷いた。
「こんな奴が宗主とか嫌だぁぁぁ! 」
月兎がたまりかねて叫んだ。




