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第十二部 第七章

「おばさんが、何か凄いアニメオタクでさ。どうしてもつけるんだって皆の反対を無視して好きなアニメからの連想で月兎(ルナ)ってつけて皆に突っ込まれてたんだよね」


 陸がそう皆に説明する。


「いやいや、キラキラネームは本人の意志でなくて親の考えでつけられるから、本人は悪くないんだから、嫌がってるなら本人に言ったら駄目よ」


 天音がそれを止めた。


「でも、本当は月兎って書いて(つきのうさぎ)だったんだよ。それをおじさんが必死に止めて。『頼むからもう少しまともな名前にっ』って土下座して、同じ字で月兎(ルナ)になったんだ」


「月兎と言うと、セーラー服着てる女子高生の変身する奴からのイメージですかね? 」


「そう、それ」


「いやいや、それはお母様は素晴らしい人だと思いますよ。私は(つきのうさぎ)で良かったと思いますね」


 健が眼鏡をキラリとさせた。


「いやいや、旧家でそれはドン引きだろ」


「陸ぅぅぅぅ! お前だって、猫みたいな恰好してるくせにぃぃぃ! 」


「こっちの女神エルティーナにやられたからしょうがないじゃない」


「ちょちょ、宗主様ですよ! 月兎(ルナ)様それはあまりに無礼では? 」


 白い着物の女性が必死になって月兎(ルナ)を止める。


「一度失格した候補者なんか戻った事なんてないし、ずっと一族で下の地位だった奴がいきなり宗主になられたって困るんだよぉぉぉ! 」


 月兎(ルナ)が叫ぶ。


「それは失礼でしょうに! 」


 横の白い着物の人がさらに叫ぶ。


「まあまあ、こないだ、ずっと好きだった人に告白して、やっと恋人同士になったばかりなんだから。こんなとこに来ることになったら、そりゃ苛つくよね」


 そう白い着物を着た人物から月兎(ルナ)を陸が庇った。


「なんで、知ってる? 」


 凄い顔で月兎(ルナ)が陸を睨んだ。


「ああ、暁おじさんに聞いた」


「あの喋りがぁぁぁ! あんなだから遠征の第一軍に選ばれるんだぁぁ! 」


「え? 第一軍がもう入ってるの? 」


「入ってるよ! 故地を取り戻すんだ! 」


「……すでに始まってるのか」


 大悟の顔が少し暗くなる。


「あれ? 暁おじさんはどっちかってーと、現状維持でお金を儲けれるから充分じゃんって、良く一族の集まりの時に縁側で愚痴ってたけど。第一軍の指揮官なの? 」


「皆の前で言われて『今更? 』って言い返したんだよ」


「まあ、男性側はあまり熱心じゃないもんね」


「だから、うちの男どもは駄目なんだっ! 」


「何度も何度も言いますが、この御方は宗主ですよ? 月兎(ルナ)様! 」


 白い着物の女性が月兎(ルナ)を再度止めた。


「……男はやる気ないのか? 」


「だって、3000年前の話だもの」


 大悟の問いに陸が苦笑した。


「それを神を宿した宗主の陸が言うかぁぁぁ! 」


 月兎(ルナ)が絶叫した。


「やばいなぁ。二つの世界を挟んだワールドワイドな世界をかけた戦いが田舎の旧家の親戚の井戸端の話になってる」


 天音がそうぽつりと呟いた。

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