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第十一部 第二章

『計画は変更になった。陸が覚醒した』


 鏡に映るぼやけた祖母はそう話した。


「はあああああああああああ! 」


 凜が絶叫する。


 後ろにいたヘンリー騎士団長がびくりとした。


 凜の顔が衝撃と憎悪が入り混じったような感じになる。


 あれほど馬鹿にして、あれほど嫌だった男が覚醒した。


 凜の血が逆流する。


 あいつがここにいると分かっただけで、凜は暴走して飛び出していった。


 焼き払うのもチャンスだったからだ。


 それをこちらの獣魔神ライのスキルか、もしくは大陸ドラゴンが奴を守ったために失敗したが、まだチャンスはある。


 そう、凜は思っていた。


 だが、違ったのだ。


 覚醒。


 あの神代家の誰もがうらやむ覚醒。


 女のシャーマンですら覚醒したのは歴代でも祖母と50人もいない。


 そのシャーマンですら大体は多少の異能を持つだけだった。


 そして男で無い場合は、それは偽物の覚醒。


 だが、あいつは! 


 憎むべきあいつは本当の覚醒をしたなどと! 


「そもそも、魔獣に入ってるのにぃぃぃ! そんなバカな話があるわけないでしょうがぁぁぁ! 八大魔獣ならともかくも猫よ、猫っ! 背中に寄生して残飯食ってる猫に寄生したのよっ! 大陸ドラゴンの食べて零れ落ちたようなものを拾って食べてんのよ! 」


 凜が絶叫する。


 最初は勇者候補にくっついて来た愚か者が大陸ドラゴンの背中の寄生魔獣の猫に封じられたと聞いて笑っていた。


 だが、詳しく聞いて、あの神代陸だと分かり、憎しみが湧き起こり、耐えられなくなって殺しに行ったのであった。


「それがぁぁぁ! それが何でぇぇぇぇ! 」


 鏡の前で絶叫を続ける凜が目立つので、次から次へと城のものが部屋から出てきて遠目で見守っていた。


『詳しくは後で』


 確かに神代の血縁しか見えないものだが、状況補見て、まずいと思った宗主の祖母神代ユウが鏡を元に戻した。


 だが、凜は止まらなかった。


「ふざけんなぁぁぁ! 私は認めないぃぃぃ! 認めないからっ! 」


 王城の回廊にある据え付けの鏡を持って凜は叫び続けた。


 やっと帰ってきたのか、その凛の姿を見て、唖然と重騎士の甲冑姿の英明を見て立ちすくむ。


 英明は深い深いため息をつくと、フルアーマーの兜の前の面頬を開けた。


「何? 誰か別の女の人がこの世の中で一番美しいとか言われたの? 」


 そう英明が苦笑した。


 そうしたら、凜はノーリアクションでいきなり、面頬が開けられた顔面を右ストレートで一撃した。


 その一撃で英明はその場に崩れ落ちた。


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